1997 Fiscal Year Annual Research Report
急性冠血管症候群の機序解明と血管内局所投与法によるその治療に関する研究
Project/Area Number |
08670764
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
東丸 貴信 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (60180163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊岡 照彦 東京大学, 保健センター, 教授 (00146151)
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Keywords | 急性冠血管症候群 |
Research Abstract |
高コレステロール家兎の実験的アテローム上にバルーン傷害により血栓を形成させ急性冠血管症候群のモデルとし局所投与の効果について検討した。抗トロンビン剤少量投与群では5例中O、ヘパリン群では5例中2例のみに血栓が形成され、局所投与による予防効果が証明された。家兎の血栓モデルでトロンボモヂユリン、抗組織因子抗体やATRAの投与により凝固系に影響せずに血栓形成の抑制が可能であった。 急性冠血管症候群の血栓形成と溶解にかかわる凝固線溶因子の組織内や血中動態とその分泌細胞や細胞外基質との関係について検討した。急性冠血管症候群の冠動脈アテレクトミ-材料では組織因子のみならず血小板活性化物質であるAD-1抗原の発現が内膜層に認められ、平滑筋細胞の増殖遊走時の形質転換は生理活性物質におよぶことが示唆された。一方、安定狭心症例ではAD-1抗原は陰性か軽度発現にとどまった。 麻酔犬の末梢動脈をバルーン傷害し新型穴あきバルーンカテーテルにより少量の抗トロンビン剤やヘパリンの局所投与を行なったところ閉寒性血栓の形成は予防された(n=6、P<0.005 対 対照側)。麻酔犬の血栓に対して第二世代t-PA(0.02mg/kg)を新型カテーテルにより少量局所投与したところ、平均狭窄度は87%減少した(n=7,P<0.005対 対照側22%)。このように抗血栓剤少量局所投与により出血傾向をもたらさず急性冠血管症候群を治療できる可能性が示峻された。さらにHJVribozomeをベクターとしてLacZ,NOSなどの遺伝子を高率に導入できる事が証明された。また、狭心症5例で冠動脈血管形成術後抗トロンビン剤をこのバルーンで局所注入したところ急性再閉塞等の合併症はみられなかった。
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Research Products
(1 results)