1997 Fiscal Year Annual Research Report
表皮ケラチノサイトにおけるグルコーストランスポーター(GLUT)の局在と機能の検討
Project/Area Number |
08670939
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
橋本 喜夫 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (70172880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 英俊 旭川医科大学, 医学部, 講師 (00216748)
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Keywords | グルコース / グルコーストランスポーター / GLUT 1 / ケラチノサイト / 促通拡散 / Tape-Stripping / UVB照射 / TPA処理 |
Research Abstract |
グルコースは動物細胞にとって最も基本的なエネルギー源であり、これを細胞膜を通過して取り込まなければならない最近、グルコーストランスポーター(GLUT)のcDNAが相次いで単離され、蛋白質の1次構造が決定された。その結果、グルコーストランスポーターは少なくてもGLUT1〜5の5種類が存在することが明らかになった。しかし、表皮ケラチノサイトにおいてはグルコーストランスポーターはどのタイプが存在しているか不明で、その機能や皮膚疾患との関連も明らかになっていない。またケラチノサイトにおけるグルコースの膜透過性に関しても、その機序は不明である。そこでまず、豚表皮器官培養系を用いて、豚表皮ケラトノサイトにおけるグルコースの取込みを、3Hでラベルした非代謝性糖類似物質である2-deoxy-D-glucoseを用いて検討したところ、時間依存性に取込みが亢進したが、はじめの30分間で、ほぼプラトーに達し、培養系にグルコースを添加すると競合して、取込みが減少することがわかった。また取込みは、アクチノマイシンDなどの蛋白合成阻害剤により、有意に抑制され、インシュリン添加では影響をきたさなかった。これらの結果から、豚ケラチノサイトにおけるグルコース透過性は、担体(GLUT)により行われる促通拡散であることが推定された。まずGLUT1^~5のモノクローナル、ポリクローナル抗体を用いて、豚表皮ケラチノサイトでの局在を免疫組織化学的に検討したところ、GLUT1のみ染色性がみられ、基底層の細胞膜に陽性であった。tape-stripping 処置24時間後の表皮及びUVB照射96時間後の表皮といった表皮増殖系ではその染色性は幾分の増強がみられ、特に基底層とその直上の有棘層に局在がみられた。豚表皮extractを用いたWestern-blotting でもGLUT2^~5は豚表皮に存在を確認できなかったが、GLUT1は44KDに存在が確認された。GLUT1は一般にインシュリン不応性であり、促通拡散を示す組織に多く存在するといわれ、表皮ケラチノサイトにおいても生理的にGLUT1が主体に機能していると推定される。今後、UVB照射によるIGF-Iの増強とGLUT1との関連、TPA処理の影響などを検討する予定である。
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[Publications] A.Ishida-Yamamoto, et al: "Distinctive expression of filaggrin and trichohyalin during various pathways of epithelial differentiation" British Journal of Dermatology. 137. 9-16 (1997)
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[Publications] 橋本 喜夫: "豚皮膚器官培養系に与える各種生薬相互作用の検討" 漢方医学. 22. 16-18 (1998)