1996 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト皮膚肥満細胞と神経由来悪性腫瘍における細胞間相互作用
Project/Area Number |
08670981
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
出光 俊郎 自治医科大学, 医学部, 講師 (20237027)
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Keywords | 肥満細胞 / 神経線維肉腫 / 悪性シュワン細胞腫 / 神経ペプチド / 細胞培養 / ヒスタミン / 細胞外基質 / ピロスタグランジンD_2 |
Research Abstract |
1 神経線維肉腫由来細胞の免疫組織化学的特徴:本細胞はビメンチン陽性でS-100蛋白陰性、NSE陰性、ニューロフィラメント陰性であり、また、ラミニン、フィブロネクチン、コラーゲンIVが陽性であり、これらの結果はシュワン細胞というよりもPerineurial cellの特徴を有していた。また、本細胞はサブスタンスPおよびサブスタンスKについても陽性を示した。共焦点レーザー顕微鏡ではサブスタンスP、サブスタンスKは細胞質に陽性であった。これらの神経ペプチドが肥満細胞になんらかの影響を与える可能性も推測された。神経線維肉腫由来細胞におけるこれらの免疫組織化学的性質については昨年の日本研究皮膚科学会(J Dermatol Sci 12:211,1996)において報告した。 2 神経線維肉腫由来細胞の造腫瘍性:培養神経線維肉腫由来細胞をヌードマウスに100万個ずつ注入し可移植性を検討したところ、移植できなかった。 3 共生培養における形態学的所見:神経線維肉腫由来細胞をFeeder layerとしてヒト皮膚由来肥満細胞を培養すると通常の線維芽細胞の時と比べて肥満細胞の存在が有意の促進された。また、光顕的観察では培養ヒト皮膚肥満細胞は神経線維肉腫由来細胞間に細長く伸び、両細胞間に相互作用のあることが示唆された。これらの結果は国際肥満細胞シンポジウム(J Invest Dermatol 105:718,1996)においてそのpleliminaryなデータを発表した。電顕的観察では現段階では肥満細胞顆粒の皮膚型から粘膜型への変化は観察されていない。また、肥満細胞と培養神経線維肉腫由来細胞に強固な接着構造も電顕的には確認できていない。今後、両者の関連としてインテグリンの発現についても検討する価値があろう。 4 ヒスタミンの神経線維肉腫由来細胞の増殖におよぼす影響:神経線維肉腫由来細胞の培養系にヒスタミンを加えると1μg/ml-100μg/mlにおいて細胞の増殖が抑制された。また、同様に、プロスタグランジンD2を添加すると10μg/mlの濃度において本細胞の増殖が有意に抑制された。
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[Publications] Demitsu T et al: "Effects of maligrant schwannoma-derived cell feeder layer on human skin mast cell culture in vitro." J.Dermatol.Sci. 10. 101- (1995)
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[Publications] Demitsu T et al: "Expression of extracellular matrix proteins and neuropeptides in maligrant schwannoma-derived cells in culture" J Dermatol Sci. 12. 211- (1996)
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[Publications] Demitsu T et al: "Mast cells in malignant schwannoma" J Invest Dermatol.105. 718- (1996)