1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08671045
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
松原 升 横浜市立大学, 医学部・放射線医学講座, 教授 (40014120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幡多 政治 横浜市立大学, 医学部・附属病院・放射線部, 助手 (60285145)
鳥越 総一郎 横浜市立大学, 医学部・放射線医学講座, 助手 (20264658)
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Keywords | 染色体異常分析 / 造影剤 / 放射線損傷 / 浸透圧 |
Research Abstract |
浸透圧の染色体に及ぼす影響について高張の食塩水溶液や種々のヨード系造影剤を用いて研究している。対象はヒトの末梢血の染色体を採用し,全血の状態で今回は放射線照射後15分以内および60分後に浸透圧の異なるヨード造影剤や食塩水を添加し、10分および30分間作用させた。その後、37℃での全血培養を行い、42時間目にコルセミドを添加し、3時間作用させた後に、Fluorescence plus Giemsa法を用いて標本を作製した。照射した放射線は^<137>Csおよび^<60>Co-γ線であった。染色体分析において指標とした染色体異常は2動原体染色体と環状染色体であった。その結果、高張食塩水あるいは高張造影剤による処理時間10分と30分のあいだでは染色体異常頻度に明らかな差は認められなかった。 また、照射後15分以内に高張食塩水や造影剤を添加、処理することにより放射線誘発性染色体異常頻度が無添加の場合よりも高まったが、60分後の処理では殆ど高まらないことが判明した。この原因としてはDNAに生じた損傷は高浸透圧下では修復しにくいこと、60分後では修復しうる損傷はすでに修復しきっていることのためと考えられた。しかし、この増感の程度は造影剤が血液中に存在した状態で診断用X線を照射した場合の2次電子の増加に基ずく増感効果に比較すると軽度であった。なお、等浸透圧の造影剤を使用した場合では、放射線誘発性染色体異常頻度の増感効果は認められなかった。
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