1997 Fiscal Year Annual Research Report
抗精神病薬としてのカルバマゼピンの作用機序に関する研究
Project/Area Number |
08671103
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
加澤 鉄士 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (20204373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湊川 文子 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (60146272)
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Keywords | carbamazepine / Adenosine受容体 / rat |
Research Abstract |
Adenosine-1(A-1)受容体に対して比較的選択的なligandである^3H-CHA(N^6-cyclohexy ladenosine)を用い、ラットのfrontal cortexにおける各種薬剤の親和性を調べ、また、Adenosine-2(A-2)受容体に対して選択的なligandである^3H-CGS-21680(2-[p-(2-carboxyetyーphenethylamino)-5‘-N-etylcarboxamido adenosine)を用いてラットのstriatumにおける各種薬剤の親和性を調べ、両者を比較検討した。 A-1受容体については、A-1受容体に対して選択的な薬剤であるCPA(N^6-cyclopentyladenosine)50nM存在下での^3H-CHA結合を特異的結合とした。抗けいれん剤の中ではcarbamazepineのIC_<50>が25μM前後となっており、最も強い親和性を示し、sodium valproateおよびclonazepamは100μMまでの高濃度でもほとんど抑制効果は見られなかった。また抗精神病薬であるhaloperidol、chlorpromazineも100μMまでの高濃度でもほとんど抑制効果は見られなかった。一方、A-2受容体については、A-2受容体に対する選択的な薬剤である2CADO(2-chloroadenosine)30μM存在下での^3H-CGS-21680結合を特異的結合とした。抗けいれん剤ではcarbamazepineが10μM前後から抑制効果が認められたが、300μMの高濃度でもIC_<50>にまでは至らず、A-1受容体に対する親和性と比較するとかなり弱い親和性しか認められなかった。Sodium valproate、clonazepam、haloperidol、chlorpromazineでは100μMまでの高濃度でも抑制効果は見られなかった。 従来、A-1、A-2の両者に対して同程度の親和性を持つ^3H-ligandを用いた抑制実験から、carbamazepineはA-2受容体に対してより強い親和性を持つ可能性も示唆されていたが、今回、A-2受容体に対する選択的なligandである^3H-CGS-21680を用いた結合実験により、carbamazepineはA-1受容体に対して、より強い親和性を持つことが明らかになった。
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