1996 Fiscal Year Annual Research Report
感情障害における熱ショック蛋白質mRNA新型転写の生物学的マーカーとしての可能性
Project/Area Number |
08671113
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
田村 敦子 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (30075288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂元 薫 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (30205760)
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Keywords | 感情障害 / うつ病 / 生物学的マーカー / 熱ショック蛋白質 |
Research Abstract |
我々は感情障害においてHeat Shock Proteinの発現に何らかの異常が認められるのではと作業仮説をたてた。予備的研究としてうつ病患者(N=18)と健常対照者(N=10)の末梢血リンパ球でのHSP70 mRNAをRT-PCR(Reverse transcript-polymerase chain reaction)法を用いて検索した。HSP70mRNAの5′末端より447bpに設定してRT-PCRを行った結果健常対照群では全例447bpの既報のmRNAをみとめたが、うつ病群では全例において285bpのmRNAを検出した(うち1例はいずれのHSP70mRNAも認めた)。285bpのmRNAのシークエンスを行ったところ、既報のmRNAと比較して5′末端より144番目から305番目まで欠損していることが判明した。これらのうつ病患者のゲノムDNAを検索した結果、162bpの欠損は認めなかったことから285bpのmRNAの発現は転写段階での新たなスプライシングが原因と考えられた(Biochemical and Biophysical Research Communication 1996)。この現象が感情障害の生物学的マーカーとしてどういう意味をもつか検討する必要があると思われる。そのため精神分裂病、神経症、人格障害など他の精神疾患においても同様の検索を行い感受性、特異性を検討する予定である。
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