1997 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病の胎児の奇形発生機構における酸化的ストレスとアポトーシスの関与
Project/Area Number |
08671172
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
赤澤 昭一 長崎大学, 医学部附属病院, 講師 (10145261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 宇史 長崎大学, 医学部, 教授 (00158908)
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Keywords | 胎仔培養 / 奇形 / 糖尿病ラット / フリーラジカル / スカヴェンジャー / グルタチオン / アポトーシス |
Research Abstract |
高血糖で培養したembryoでは、フリーラジカルの産生の増加とともにGSH合成の律速酵素であるγ-GCSの活性の低下を認め、embryo内のGSH含量の著明な低下を認めた。高血糖培養液にGSH esterを添加すると、奇形の発生は完全に抑制出来る事より、高血糖による奇形の発生はフリーラジカルの増加に対し、細胞内GSH含量の低下により生じる事を明らかにした(Diabetes 44:992,1995)。糖尿病母体における奇形も同様な機序で生じているかどうかを検討する目的でstreptozotocin妊娠糖尿病ラットを作成し(STZ群)これに腹腔内にGSHを投与した群(STZ+GSH群)およびインスリン治療により血糖を正常化した群(STZ+Ins群)を作成した。各群においてin vitroと同じ時期(妊娠第10日、11日)のembryoにおいて神経管閉鎖不全等の奇形の発生頻度およびフリーラジカルの産生とGSH枯渇を検討し、in vivoにおいても酸化的ストレスがアポトーシスに関与しているかどうか検討した。STZ群のembryoにおいてはフリーラジカルが増大しGSHの有意な低下を認め、奇形の発生頻度は増大した。STZ群にGSHを腹腔内に投与する事によりGSHレベルは正常レベルにまで回復し、フリーラジカルの産生は低下を示し、奇形の発生頻度は著明に減少した。また正常群ではアポトーシスは神経管のneuroepithelial cellに多く認められるのに対し、STZ群では単発的に、しかもごくわずかしか認められなかった。糖尿病の奇形(神経管閉鎖不全)の機序として酸化的ストレスに対しGSHが低下を示しアポトーシスが十分生じない事が重要であると考えられた。
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