1996 Fiscal Year Annual Research Report
Chimerism発現と免疫寛容の誘導維持による新しい移植治療の開発-特に生体小腸部分移植の臨床応用にむけて-
Project/Area Number |
08671348
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
高野 邦夫 山梨医科大学, 医学部, 講師 (80125773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西尾 徹 山梨医科大学, 医学部, 医員
武藤 俊治 山梨医科大学, 医学部, 助手 (80252047)
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Keywords | 臓器移植 / 免疫寛容 / 脾移植 / chimerismの発現 / 小腸移植 / 拒絶反応 / 摘脾 / 生体部分移植 |
Research Abstract |
近年の、種々の強力な免疫抑制剤の開発により、臓器移植治療の進歩はめざましく、すべに幾つかの臓器の機能不全においては移植治療が第一選択に成ってきている。しかし、一方で移植後の慢性虚拒絶反応により、移植臓器の摘出や移植治療が遂行し得ない症例も少なくない。そこで、さらに臓器移植の成績を改善するためには、免疫抑制ではない、新しいideaによる治療の開発が重要と考えられた。そこで、chimerismの発現と免疫寛容の獲得維持のメカニズムを解明し、新しい移植治療法の開発を目的に本研究を計画した。研究内容は、脾の免疫学的作用に注目して脾摘を加えた脾移植モデルを考案し、さらに生体部分移植を考慮して母子間脾移植モデルも作成し検討している。また、2次移植として小腸移植モデルにより、脾移植の効果を評価を予定している。移植片の生着の評価、chimerismの動態および免疫寛容獲得の指標として免疫組織学的分析とともに、腸管の生理運動機能に関しても検討を加える。さらに小動物を用いた異種移植モデルにおいても免疫抑制剤、モノクロナール抗体投与、脾移植の効果を評価する。脾移植(ドナー特異的抗原投与)による持続的な抗原提示と、脾摘によるドナーT細胞の分化の抑制から拒絶反応やGVHDが制御されることより、chimerismの発現と免疫寛容が獲得維持が可能と考えている。 現在、研究はメデルの開発により脾摘と部分脾の移植の有効性が明らかとなり、日本移植学会・日本小児外科学会総会で発表した。さらに研究を進め、持続的免疫寛容獲得に関する新しい知見が得られ、臓器移植に有効な治療法が開発しうると確信している。
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