1998 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子異常を導入した乳癌病期分類(TNMG分類)の確立
Project/Area Number |
08671397
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Research Institution | KINKI UNIVERSITY OF MEDICINE |
Principal Investigator |
乾 浩己 近畿大学, 医学部附属病院, 助手 (40278677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
綿谷 正弘 近畿大学, 医学部, 講師 (00220856)
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Keywords | 乳癌 / 病期分類 / 癌関連遺伝子 / FISH / Genetic instability |
Research Abstract |
乳癌の生物学的悪性度を腫瘤径,リンパ節転移,遺伝子異常から考え,従来のTNM分類にGenetic alterationを導入したTNMG分類を確立し予後の向上に資することを目的として,1990年度より1993年の4年間に収集した約140例の原発性乳癌を対象に,複数の癌遺伝子の解析および染色体の対立遺伝子欠失(LOH)の解析と,D2S123,D5S107,D17S250,D17S261といったlocusでのGenetic instabilityの解析を行ってきた。その結果,t1n0m0早期癌19例のうち8例に何らかの遺伝子変異がみられ,しかもそのうち1例に複数の遺伝子変異を認めた。stageIIIbやstageIVなどの局所進行乳癌や進行癌は,stageIやstageIIの乳癌と比べmyc,int-2,erbB-2遺伝子増幅や11p,16q,17p,17q,18qでのLOH頻度が高かった。また,17qLOHかつerbB-2増幅を示す7例中4例は2年以内に死亡したが,両遺伝子変化の検出されなかった53例全例の生存を確認した。erbB-2の過剰発現については,少なくとも20%の乳癌の発生・進展において比較的早期に認められ,多変量解析の結果から,erbB2の過剰発現は再発に関して独立した予後因子となることが示唆された。 さらに,1998年度にわれわれは,原発性乳癌を対象に従来は新鮮標本からのみ解析されていたFISH法による染色体数的異常を,パラフィン包埋切片より腫瘍部を切り出し,染色体数的異常を解析できることを明らかにした。その結果,第17番染色体セントロメアにおける染色体数的異常の出現頻度は57例中27例(47.7%)であった。
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