1996 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子導入による抗癌剤感受性増強及び耐性の検討(癌遺伝子治療について)-PD-ECGF(Thymidine phosphorylase)/Doxifluridine、Cytochrome P-450 CYP2B1/cyclophosphamide等-PD-ECGFの新生血管作用について
Project/Area Number |
08671427
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
下松 谷匠 福井医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (00187486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀内 哲也 福井医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (20211550)
谷川 允彦 福井医科大学, 医学部, 助教授 (00111956)
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Keywords | 癌遺伝子治療 / 新生血管 / platelet derived-endothelial cell growth factor / thymidine phosphorylase |
Research Abstract |
癌治療の新しいストラテジーの1つに、プロドラッグを活性化させる酵素をコードする遺伝子を癌細胞に導入し、選択的に抗腫瘍効果を得るという方法がある。5ーFUのプロドラッグであるドキシフルリジンやテガフ-ルは、thymidine phosphorylase(TP)によって5-FUに変換される。本研究では、近年TPとほぼ同一であることが明らかとなったplatelet derived-endothelial cell growth factor(PD-ECGF)cDNA をヒト肺腺癌cell lines(PC-9)に導入し、そのトランスフェクタントを利用して、プロドラッグに対する感受性を検討した。PD-ECGFのトランスフェクタントであるPC9-DPE2のドキシフルリジン、テガフ-ルに対する感受性は、parental PC-9と比べて、それぞれ167、26倍増強した。 また、PC9-DPE2を利用して、薬剤活性化遺伝子導入細胞に隣接する非導入細胞に対しても、薬剤の抗腫瘍効果が増強するというbystander effectについて検討した。ドキシフルリジン10μM存在下に、PC9-DPE2とparental PC-9を1対9の割合で混合培養した場合、bystander effect陽性の結果が得られた。さらに、double chamber modelを利用して、bystander effectに細胞の接触が必要でないことが証明され、これには、培地中に遊出する5-FUが強く関与していることも示唆された。また、PC9-DPE2をヌードマウス皮下に移植したin vivo実験では、ドキシフルリジン投与により、腫瘍増殖抑制効果が得られた。 一方で、大腸癌切除標本145例を対象にした検討を行った。腫瘍細胞内及び、間質内TP発現と腫瘍内微小血管数、血行性転移、予後とに有意な相関関係を認めた。腫瘍内マクロファージ浸潤と腫瘍内微小血管数、腫瘍内TP発現、間質内TP発現、予後との間にも相関関係を認めた。
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