1996 Fiscal Year Annual Research Report
Major surgery後の肝網内系機能に関する基礎的、臨床的研究
Project/Area Number |
08671432
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
二村 雄次 名古屋大学, 医学部, 教授 (80126888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金井 道夫 名古屋大学, 医学部, 助手 (50242871)
宮地 正彦 名古屋大学, 医学部, 助手 (80242874)
梛野 正人 名古屋大学, 医学部, 講師 (20237564)
神谷 順一 名古屋大学, 医学部, 講師 (70194975)
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Keywords | Nitric Oxide / 肝微小循環 / 肝網内系機能 / 出血性ショック / Kupper細胞 / インターロイキン / サイトカイン |
Research Abstract |
今回、われわれは出血性ショックや細菌感染症時における生体防御の中心的な役割をになう網内系機能の評価を行ったきた。肝臓の微小循環は体血圧と肝の血管内皮細胞に制御を受ける。Nitric Oxide(NO)はその血流の制御とともに肝における免疫機能、とくにサイトカインネットワークの中で重要な役割を果たしておりKupffer細胞はその産生主体と考えられている。ここにこれまでに得られたin vivoおよびin vitroの結果の報告をする。 i)細菌感染時における肝の網内系機能の評価法として^<51>Crと^<125>Iでdouble labelした大腸菌を用いて、これを静注後、取り出した肝の放射活性を測定することで、細菌の貪食能と殺菌能をそれぞれ定量的に測定するアッセイ法を確立した。 ii)ラットの生体での出血性ショックモデルにおいて、出血直後、6時間後、24時間後で網内系機能評価を行ったところ、細菌貪食能は直後で有意に低下し、24時間後にコントロールレベルまで回復した。また殺菌能は直後に低下したものの24時間後には正常レベル以上に活性化された。これは出血性ショック後の免疫能の過剰な反応を示唆していると考えられた。さらに同モデルおいて、24時間後に肝臓、腎臓、肺、小腸、胃を形態的、機能的異常を検討した結果、肝臓、腎臓、および小腸に両者の異常を認め、胃においては形態的異常(病理的異常)を認めた。これら臓器障害と免疫の過剰反応との相関が興味深いと思われた。また別のモデルとして、生体において細菌感染時(LPS投与時)に網内系機能の評価を行ったところ、貪食能には変化は認められず、殺菌能は有意に活性化された。 iii)同様にin vitroにおいて肝固有のマクロファージである分離Kupffer細胞で大腸菌に対する貪職能と殺菌能を定量した。In vivoと同様に、LPS刺激により貪食能には変化は見られなかったが、殺菌能は有意に上昇した。 iv)分離Kupffer細胞はLPS刺激によりNOの発現(iNOSの発現)に加え、IL-1、IL-6、IL-12、TNFを発現しており、肝内における免疫反応に重要な役割を果たしていることが示唆された。NOSは生体でのLPS刺激でも誘導されており、vitroの結果と合わせてNOの細菌感染時における殺菌機能への関与が考えられた。 v)臨床例において、細菌感染時、肝切除後のサイトカインの血中濃度は、現在も測定中である。
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