1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08671435
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
田岡 大樹 三重大学, 医学部・附属病院, 助手 (20263006)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川原田 嘉文 三重大学, 医学部, 教授 (40024814)
|
Keywords | 膵性糖尿病 / 空腹時CPR変動率 |
Research Abstract |
教室の膵切除例の臨床的検討により,術後膵性糖尿病を来す要因には,Type1:膵実質量減少型,Type2:膵管閉塞型,Type3:残膵血流減少型,Type4:膵β細胞疲弊型,Type5:原因不明の5つのTypeに分けられることを明らかにしてきた。従来Type1とType2に関しては様々な観点から検討されてきた。今回我々は新しくType3,4のパターンがあることを認識し,これらの発現原因を明らかにする目的で今回の研究に入っている。従来術後膵性糖尿病がいつ発現したか正確に捉えることは極めて困難であった。これは経時的な膵β細胞機能の変動指標をO-GTTかIV-GTTのΣIRIにておこなっていたためであり,この検査では変動の激しい膵β細胞機能を追跡調査することが不可能である。そこでわれわれは早朝1回の採血にて検査が可能な空腹時CPR変動率という新しい指標を求め,これによりβ細胞機能が回復しているのか低下しているのか随時判定可能となった。さらに空復時CPR変動率が低下した症例では直ちにMRP(MR-pancreatography)を施行し,残存膵管の径を測定,さらにカラードップラー血流計にて背側膵動脈または膵尾動脈血流を測定してきた。これによれば術後3カ月までは全例空腹時CRR変動率の低下を認め,膵β細胞機能は低下している。しかしほとんどの症例はこの段階から回復過程に入り,術後l年目にはほぼ正常領域に復帰する.しかし3力月日以降も低下する症例では,膵管径は正常であるにもかかわらず残膵血流量が抵下していることが明らかとなった。また長期にわたり空腹時CPR変動率が低下してきた症例では,胃潰瘍,肝膿瘍,急性膵炎などを合併した後,急速な残膵血流量の低下を認めた。今後はこれらの原因によらないType5の解明を求めるべく,膵切除時に採取してある膵組織から抗64kD抗体,DQ遺伝子,ICA(Islet cell antibody)を検索し,再手術施行例での再採取膵組織と比較検討し,分子生物学的な観点から発生原因を探索する予定である。
|
Research Products
(1 results)