1997 Fiscal Year Annual Research Report
ラット心不全モデルにおける細胞内シグナル伝達物質の遺伝子発現に関する研究
Project/Area Number |
08671506
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井口 篤志 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (90222851)
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Keywords | 心不全モデル / 遺伝子発現 / 細胞内シグナル伝達 |
Research Abstract |
1 心不全状態にある心筋細胞内に於けるシグナル伝達関連物質の遺伝子発現および蛋白レベルの代謝調節の変化を明らかにし、心不全の病態を細胞レベルで解明することを目的として、次の研究を計画した。 2 3週〜4週のWister-Imamichiラットを用い、圧負荷心不全モデルラットを作成した。麻酔下で開腹し腹部大動脈を周囲から剥離した後、腎動脈分岐部より中枢側でヘモクリップを用い、大動脈の狭窄を人工的に作成した。クリップの内径を一定にするため24G針をはさんで、クリップし、またコントロール群では同様の手術手技を行うもののclipの留置は行わないこととした。合計13匹の圧負荷心不全モデルラットと8匹のコントロールラットを作成した。死亡はそれぞれ2例と1例であった。 3 術後12週でharvestし、心臓組織をサンプルとしてmRNAを抽出して、ノーザンブロット解析を施行した。プローブとしてカルシウム依存性プロテインキナーゼI,IIα、IVα,及びカルシウム依存性プロテインキナーゼ1の活性化因子であるカルシウム依存性プロテインキナーゼキナーゼのオリゴヌクレオチドに32P-dATPを標識して使用した。その結果、心不全モデル群とコントロール群で明らかな遺伝子発現の違いは検出できず、すくなくとも心筋の肥大にこれらのキナーゼ群は関与していないことがわかった。 4 今後の展開として、シグナル伝達系のより上流の物質であるプロテインキナーゼCやホスホリパーゼA2などもプローブとして同様の検討を行っていく予定である。
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