1997 Fiscal Year Annual Research Report
機能性蛋白質化学固定人工血管における内皮細胞の増殖とコラーゲン産生能に関する研究
Project/Area Number |
08671539
|
Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
泉澤 康晴 酪農学園大学, 獣医学部, 助教授 (60193380)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 まこと 北海道大学, 退学部, 助教授 (70170636)
山下 和人 酪農学園大学, 獣医学部, 講師 (60244844)
谷山 弘行 酪農学園大学, 獣医学部, 助教授 (90133800)
|
Keywords | 機能性タンパク質 / 化学固定 / 人工血管 / イヌ総頚動脈 / 光顕 / コラーゲン / α-smooth mucle actin |
Research Abstract |
4種の化学固定ePTFE人工血管(apo-transferrin/MA/ePTFE、apo-transferrin/FN/MA/ePTFE,insulin/MA/ePTFE、insulin/FN/MA/ePTFE:内径3.5mmまたは4mm、グラフト長約10mm)をイヌ8頭の頸動的に移植し、超音波ドップラー血流計、超音波画像診断装置、血管造影により術後のグラフトの開存性を調べるとともに、摘出後光学顕微鏡による組織学的観察(HA、Collagen type I,III、α-smooth mucle actinによる免疫組織化学的染色)を行い、以下の結果を得た。 (1)開存性については、8頭中6頭が術後2週間以内の早期に閉塞した。 (2)開存例ではグラフト両端より内皮細胞の進展が見られ、閉塞例ではいずれのグラフトでも内皮の再生は認められず、グラフト内腔はすべて血栓で閉塞していた。 (3)口径4mmの閉塞例では吻合部宿主動脈に強固に付着していたのに対し、口径3.5mmでは移植期間に関わらずクラフト内腔全体に血栓が付着していた。 (4)細胞増殖因子のinsulinとapo-transferrinでは、単独固定では差は現れなかったが、FN共固定したものではapo-transferrinよりもinsulin方が内皮細胞数、線維芽細胞数とも多かった。 (5)FNの固定により増殖因子の増強作用が得られ、特にinsulinではその作用が顕著に現われた。 (6)開存例はinsulin固定とapo-transferrin固定ともFN共固定したものに見られた。 (7)内皮細胞の被覆は早くも吻合後1週間で認められ、外膜には結合組織の増生と血管新生が確認された。内皮細胞は吻合部の両側より伸展していたが、グラフト中央部分はフィブリン膜のみで内皮細胞は確認されかった。 口径4mmの閉塞例では、グラフト線維への血栓の付着はむしろFN共固定したもので進行していた。 以上より、小口径人工血管の早期閉塞に対する課題として重要なのは内皮被覆に至るまでの抗血栓性の維持であり、内皮細胞の増殖性の高いinsulin/FN/MAを化学固定したePTFEの有効性が示唆された。
|