1997 Fiscal Year Annual Research Report
悪性脳腫瘍に対する可容性Fasリガンドによるアポトーシス誘導療法の開発
Project/Area Number |
08671589
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Research Institution | SAGA MEDICAL SCHOOL |
Principal Investigator |
阿部 雅光 佐賀医科大学, 医学部, 助教授 (20136427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木原 俊一 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (30253610)
田渕 和雄 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (50116480)
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Keywords | Fas ligand / Fas / apoptosis / brain tumor / glioma |
Research Abstract |
IL-2やOK-432にて賦活化した末梢血単核球細胞よりRT-PCR法を用いて全長Fasリガンド(FasL)を固定しサブクローニング後大腸菌にトランスフォーメーションし、得られたクローンよりFasLcDNAを調整した。これをpBlueBacHisに挿入しバキュロウイルスと昆虫細胞Sf9にトランスフェクションして組換えウイルスの増殖、精製を行った。組換えウイルスにFasLcDNAが挿入されていることを確認後FasLの大量精製を行った。Western blottingおよびELISAでFasLの存在を確認した。FasLは免疫組織化学的にSf9の細胞膜に発現していた。Fasを発現している悪性神経膠腫培養細胞T98Gに対して濃度および時間依存性にアポトーシスが誘導された。FasLの殺細胞効果は、同細胞株にアポトーシスを誘導できる抗Fas抗体の10倍であった。抗Fas抗体に対して感受性が低い細胞株や抵抗性を示した細胞株でもアポトーシスを誘導できたが、T98G細胞よりも数倍の濃度を必要とした。 ヒトグリオーマ細胞株5株、および生検グリオーマ組織11例よりlysateを作製し、Western blottingを行ったところ細胞株では全例に、グリオーマ組織では10例でFasLが認められた。 悪性グリオーマ術中生検組織の免疫組織化学的検討では、Fasは大多数の膠芽腫で細胞質に陽性反応が認められた。約10%の症例で増殖した血管内皮、浸潤リンパ球さらには一部の腫瘍細胞で陽性反応が認められた。血管内皮にFasLが強く染色される例では、FasLがCTLの腫瘍組織内への侵入を防いでいる可能性が考えられた。
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[Publications] 川口正二郎: "脳腫瘍におけるinterleukin-1 bata converting enzymeファミリーの発現とアポトーシス." 神経免疫研究. 9. 162-165 (1996)
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[Publications] 川口正二郎: "OK-MCs(OKー432ーactivated mononuclear cells)の抗脳腫瘍効果におけるFas ligand/Fas系の関与." 神経化学. 35. 462-463 (1996)
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[Publications] 白石哲也: "脳腫瘍におけるポトーシス制御機構とアポトーシス誘導療法." 医学のあゆみ.176. 651-653 (1996)
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[Publications] 白石哲也: "脳腫瘍におけるFasおよびFas ligandの発現とアポトーシスとの関連." 神経免疫. 9. 149-152 (1996)
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[Publications] Toda,K.,et al.: "The cytocidal activity of OK-432-activated mononuclear cells against human glioma cells is partly mediated through the Fas Ligand/Fas system.Jpn." J.Cancer Res.87. 972-976 (1996)
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[Publications] 田渕和雄: "脳腫瘍をめぐる分子生物学的知見." 週刊医学界新聞(脳腫瘍-発生要因から遺伝子治療まで). 5-7 (1997)
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[Publications] 田渕和雄: "グリオーマ" 三輪書店, 162 (1997)
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[Publications] 田渕和雄: "脳神経外科の最前線" メディカ出版, 81 (1997)