1996 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経障害ラットの排尿異常とその回復における神経の可塑性に関する研究
Project/Area Number |
08671791
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
菅谷 公男 琉球大学, 医学部・附属病院, 講師 (20179120)
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Keywords | ラット / 中枢神経系 / 除脳 / 排尿 / 可塑性 / 膀胱内圧測定 / Barrington核 / HRP |
Research Abstract |
本年度は本研究の初年度であり、脳脊髄部分破壊実験前後の排尿生理実験が主であった。SD系雌ラットを用いてハロセンの吸入麻酔下に経尿道的に膀胱内にカテーテルを挿入した。ラットを実験用固定器に固定し麻酔を止め、膀胱内に留置したカテーテルを通して生理食塩水を連続的に注入し、無麻酔拘束状態で連続膀胱内圧測定を行ってコントロールとした。脳の部分破壊実験では再度吸入麻酔下にラットを脳定位固定器に固定し、大脳皮質一側の前方1/3の内側,前方1/3の外側、中央部1/3、後方1/3のいずれかを吸引除脳した。脊髄の部分破壊実験では吸入麻酔下に下部胸髄の後索を切除または下部胸髄を完全切断した。これら脳脊髄部分破壊実験の1週間後に無麻酔拘束下に連続膀胱内圧測定を行ったところ、大脳皮質一側の前方1/3の内側除脳群では膀胱容量が増加し、外側の除脳群では膀胱容量が減少したが、中央部1/3除脳群と後方1/3除脳群では変化がなかった。4週目にはいずれの群もコントロールの膀胱容量レベルに回復していた。脊髄後索切除群では膀胱容量に変化はなかった。完全脊損群では1週目に膀胱容量の増加があり、4週目の膀胱容量は1週目よりは少なかったがコントロール時よりは依然増加していた。以上の結果から、神経の可塑性の組織学的検討は大脳皮質前方1/3の内側除脳群と外側除脳群で検討することとした。これらのラットで部分除脳の5日目または4週目に橋排尿中枢である一側のBarrington核または膀胱壁に神経標識物質のHRPを注入して2日後に潅流固定して脳脊髄を取り出した。部分除脳ラットの脊髄ではHRP標識細胞や標識線維の出現数や出現部位に神経無傷のコントロールラットと大きな差はなかった。一方、脳幹では内側除脳群、外側除脳群ともHRPを注入したBarrington核と対側の同核やその近傍の領域との間に線維連絡が増加する傾向があった。現在、HRP実験の例数を増やして詳細に検討中である。
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