1998 Fiscal Year Annual Research Report
妊婦頚管粘液中のサイトカイン動態と切迫早産・早産との関連について
Project/Area Number |
08671854
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
佐川 正 北海道大学, 医学部付属病院, 講師 (20170623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古田 伊都子 北海道大学, 医学部, 助手 (70238682)
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Keywords | 頚管粘液 / サイトカイン / 切迫早産 / 早産 / 前期破水 / 顕粒球エラスターゼ |
Research Abstract |
早産例の約1/3に前期破水(FROM)の関与が報告されており, 「早産期の前期破水(PPROM)の取り扱い」は産科臨床上,極めて重要な問題の一つである.教室におけるPPROMの診断・治療の実際と管理上の問題点を明らかにするとともに,PPROMの予防の可能性を検討した.まず,教室におけるPPROMの診断・治療の実際と管理上の問題点を検討した.PPROMの約1割は外子宮口より明らかな羊水流出のない診断困難な症例である.したがって,PSP法などの破水の確定診断法を用いることが重要である.また,28週未満のPPROMに対しては,待機的かつintensiveな治療を行ってきたが,CAM・陣痛抑制困難など感染が原因となったterminationの症例,児の予後が不良な症例がなお存在し,PPROMが発生してからでは管理上の限界があると考えられた. 次に,破水の発生機序として細菌性腟症,頚管炎からの上行性感染が注目されているが,このような下部生殖器感染症のスクリーニングと治療によりPPROMの予防が可能かどうかを検討した.スクリーニング群では11例が早産となり,PPROMは2例で認められた.2例とも細菌性腟症,頚管炎はなく,早産の原因は特発性と頚管無力症(前述した症例)であった.スクリーニング群では37週未満のFROMが2例(0.5%),35週未満のPROMはみられず,対照群と比べて,37週未満のFROMは減少する傾向(p=0.06)を示し,35週未満のPROMは有意φ=0.03)に減少した.以上より,細菌性腟症と頚管炎のスクリーニングと治療が上行性感染を阻止し,PPROMの発生を予防する可能性が推察された.しかし,細菌学的スクリーニングにもかかわらず,PPROMとなる症例が少数例ながら存在し,感染以外の原因によるPPROMの発生機序の存在が推定された.
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Research Products
(2 results)