1996 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の根面齲蝕治療のためのフッ素徐放性修復材料に関する研究
Project/Area Number |
08672185
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
韓 臨麟 新潟大学, 歯学部, 助手 (10272824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 明 新潟大学, 歯学部附属病院, 講師 (10143786)
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Keywords | 根面う蝕 / 抗菌性修復材料 / メトロニダゾール / フッ素徐放性 / グラスアイオノーマセメント |
Research Abstract |
近年急速に進行しつつある高齢化に伴う口腔環境の変化は、疾病構造の複雑化を招き、その一つに根面う蝕の増加傾向があけられる。当教室では、従来より、メトロニダゾールを主剤とする混合抗菌剤を添加した裏層・覆髄材を用いることにより感染歯質を無菌化し、従来、抜髄の適応と考えられていたかなりの症例においても歯髄の保存を計るための一連の研究を行ってきた。一方、光硬化型グラスアイオノマーセメント(GIC)は、象牙質に対する接着性及びフッ素徐放性を有することから、充填用あるいは裏層材として注目されている。そこで、本研究では、感染象牙質の無菌化、更に二次う蝕の予防を目的として光硬化型グラスアイオノマーにメトロニダゾールを主剤とする混合抗菌剤を添加し、その抗菌性及びフッ素徐放による歯質強化作用についての検討を行った。 材料及び方法:光硬化型GICとして、充填用1種及び裏層用2種を用いた。セメント粉末にメトロニダゾールを主成分とする混合抗菌薬剤を5%の重量比で添加し、添加しない材料とともに以下の試験に供した。 1)抗菌性試験:セメント試片をう蝕象牙質病巣より採取した細菌を接種したBHI-血液寒天平板上に置き、1、3、7日間嫌気培養した後、阻止円を観察した。2)圧縮強度の測定:万能圧縮引張り実験機を用いて、圧縮強度を測定した。3)溶解量の測定:秤量瓶に入れた蒸留水中にセメント試片を浸漬し、浸漬液の蒸散後の秤量瓶の重量変化から溶解量を測定した。4)フッ素溶出量の測定:セメント試片を脱イオン中に浸漬し、複合型フッ素イオン電極を用いて、フッ素イオンの溶出を測定した。 結果と考察:う蝕象牙質より採取した細菌に対し、抗菌剤添加GIC試片は抗菌性を有することが明らかになった。また、抗菌剤添加GIC試片はフッ素徐放性を有することも明らかになった。一方、光硬化型GICに抗菌剤を添加すると、圧縮強さの若干の低下と溶解性の増加をもたらすことが明らかになったが、適応症の選択により臨床応用は、十分に可能と考えられる。
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