1997 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト乳歯歯髄における抗原提示細胞の動態に関する免疫組織化学的研究
Project/Area Number |
08672361
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
河野 美砂子 新潟大学, 歯学部・附属病院, 講師 (60153491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 忠 新潟大学, 歯学部, 教授 (00013970)
大島 邦子 新潟大学, 歯学部, 助手 (80213693)
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Keywords | ヒト乳歯 / 歯髄 / 生理的歯根吸収 / 免疫組織化学 / 抗原提示細胞 / クラスII MHC分子 / HLA-DR |
Research Abstract |
抗原提示細胞群の中でもクラスII主要組織適合性複合体(major histocompatibility complex:MHC)分子をもつ免疫担当細胞、すなわちクラスII MHC抗原陽性細胞に注目し、生理的歯根吸収期のヒト乳歯歯髄における動態について、免疫細胞化学的、酵素組織化学的手法を用いて検索した。 歯冠部象牙質吸収が開始される時期には、歯冠部の歯根側寄りの歯髄・象牙質境に破歯細胞が出現した。この時期、破歯細胞による吸収が及んでいない部位の歯髄・象牙質境には扁平化した象牙芽細胞、クラスII MHC抗原陽性細胞、前破歯細胞が観察されたが、象牙芽細胞層の連続性は保たれていた。吸収が進行し、破歯細胞による歯冠部内部吸収が全域に及ぶ頃には、象牙芽細胞は萎縮し、細胞間の連続性も失われていた。一方、クラスII MHC抗原陽性細胞は象牙芽細胞変性後も歯髄・象牙質境に観察され、その後、破歯細胞による内部吸収が活発化すると、吸収窩にはクラスII MHC抗原陽性細胞は見られなくなった。吸収を終えた破歯細胞が吸収面から離れ、象牙質表面が露出するようになると、再び歯髄・象牙質境に多数のクラスII MHC抗原陽性細胞が出現した。その後象牙質表面に多量のセメント質様硬組織の添加が見られる時期には、クラスII MHC抗原陽性細胞は硬組織界面より離れて位置するようになった。このように破歯細胞およびセメント質様硬組織形成細胞が歯髄・象牙質境に出現する過程において、クラスII MHC抗原陽性細胞が一貫して歯髄・象牙質境に存在することから、クラスII MHC抗原陽性細胞が破歯細胞、セメント質様硬組織形成細胞の分化、移動、活性化の誘導に関与する可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 菊原智恵: "Hand-Schuller-Christian病治癒後の一症例の歯科的所見" 小児歯科学雑誌. 34・5. 1308-1315 (1996)
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[Publications] 大島邦子: "吸啜から咀嚼運動への移行-形態と機能の関連-" 歯界展望別冊/デンタルオリンピア'95-21世紀の歯科医療-. 210 (1996)
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[Publications] 大島邦子: "歯根膜ルフィニ神経終末の発生-咬むことにより神経終末は成熟する-" ザ・クインテッセンス. 16・5. 1006-1012 (1997)
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[Publications] 佐野富子: "上顎乳切歯に露髄を伴う重度の形成不全が認められた2症例" 新潟歯学会雑誌. 27・2. 179-184 (1997)
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[Publications] Naoko Kannari: "Class II MHC antigen-expressing cells in the pulp tissue of human deciduous teeth prior to shedding" Archives Histology and Cytology. 61・1. in press (1998)
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[Publications] Mieko Tomizawa: "Four cases of unilateral delayed eruption of maxillary first molars" Pediatric Dentistry. 20・1. 53-56 (1998)