1997 Fiscal Year Annual Research Report
低Ca食飼育ウサギ血清を用いた破歯細胞培養と乳歯歯根吸収に関する研究
Project/Area Number |
08672404
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
小笠原 靖 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (60160735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保山 博子 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (10258593)
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Keywords | 低Ca食 / 血清 / 破歯細胞 / 培養 / 乳歯歯根吸収 |
Research Abstract |
破骨細胞培養に関して多くの報告があるが、破歯細胞培養に関するものは少なく、現在までヒト破歯細胞培養を行った報告も見られない。西田は破骨細胞培養に低Ca食飼育ウサギ血清を使用したところ,ロットチェックおよび分化増殖因子の添加も必要なく,破骨細胞の食骨機能を維持した培養が可能であったと報告している。よって同血清を用いれば,破骨細胞に類似した破歯細胞培養も容易になるのではと考え,ヒト破歯細胞培養系確立のため,以下のように100%低Ca食飼育ウサギ血清を用いてヒト抜去乳歯歯根吸収面から採取した細胞の培養を試みた。1.方法(1)ウサギを低Ca食にて4週間飼育,全採血し,分離した血清を低Ca食飼育ウサギ血清とした。(2)ウシ大腿骨から3.5^2×0.1mmの骨片を作製。(3)当大学小児歯科で,抜歯の適応と診断された生理的歯根吸収を認めるヒト乳歯(107本)を抜歯後,乳歯歯根吸収面から細胞を採取。100%低Ca食飼育ウサギ血清にて洗浄し,細胞浮遊液を得た。(4)37℃,5%CO_2の環境で0〜10日,培養。(5)培養後,TRAP染色し,光顕で観察。ANOVAにて分析。(6)カルシトニンを用いてTRAP陽性細胞に対する影響を検討。(7)TRAP染色後,骨片上の細胞を除去し,SEM観察。2.結果(1)100%低Ca食飼育ウサギ血清のみを用いてヒト乳歯歯根吸収面から採取した細胞の培養に成功した。(2)培養細胞はTRAP陽性で10日間の培養が可能であった。(3)多核TRAP陽性細胞数は有意に増加し,7日目に最大値を示した。(4)カルシトニンは培養細胞のTRAP活性を抑制した。(5)培養7日目の細胞はウシ骨片上に吸収窩を形成した。3.考察 7日目の細胞は前駆細胞から誘導された成熟破歯細胞であると思われ、また低Ca食飼育ウサギ血清は,ヒト乳歯歯根吸収面から採取した細胞の分子増殖に必要な因子を含むことが示唆され,この培養法はヒト破歯細胞の前駆細胞培養系として有用であると考えられる。
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