1996 Fiscal Year Annual Research Report
腎におけるプリン2受容体に対する特異的作動薬および拮抗薬の開発に関する基礎的研究
Project/Area Number |
08672623
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
関根 孝司 杏林大学, 医学部, 助手 (50255402)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 仁 杏林大学, 医学部, 教授 (20101115)
細山田 真 杏林大学, 医学部, 助手
|
Keywords | purinoreceptor / P_<2Y> / P_<2U> / 尿細管 / 細胞内カルシウム / desensitization |
Research Abstract |
実体顕微鏡下で単離した尿細管の各分節を用いて、細胞外ATPによる細胞内カルシウム濃度([Ca^<2+>]i)を測定し、ATPreceptorの局在およびそのsubtypeを決定した。細胞外ATPによる[Ca^<2+>]iの上昇は糸球体、近位尿細管S1、皮質部集合管(CCD)および髄質外層集合管(OMCD)で観察され、OMCDの上昇が最も大きかった。OMCDおよびCCDでの[Ca^<2+>]iの上昇は2相性で、ATP添加により急峻な[Ca^<2+>]iの上昇とそれに続く持続相が観察された。糸球体およびS1ではこの持続相は見られなかった。OMCD潅流液よりCa^<2+>を除くと、ATP添加による初期の[Ca^<2+>]iの上昇は約30%減弱し、持続相は消失した。ATPによる[Ca^<2+>]iの上昇にphospholipase C(PLC)が関与しているか否かを知るために、PLCのinhibitorであるneomycinを前投与したところ[Ca^<2+>]iの上昇は抑制された。 ATPとそのanalogおよびmetaboliteを用いた実験より、S1に存在するpurinoreceptorはP_<2Y>、OMCDに存在するのはP_<2Y>あるいはP_<2U>であると結論された。興味深いことに、vasopressin,angiotensin II,endothelin I,bradykinin等による尿細管細胞の[Ca^<2+>]i上昇がATPによる前処置で消失した(purinoreceptorを介したdesensitization effect)。この結果は、尿細管に対するこれらのhormoneの作用をATPが調節しているという可能性を示唆するものである。
|