1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08680019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
疋田 洋子 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (90031674)
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Keywords | 古材 / 解体木材 / 再利用 / 曲げ強度試験 / 圧縮強度試験 |
Research Abstract |
本研究は解体木材を再利用する観点からその可能性を追求し、その諸条件を整えることを目的としている。平成9年度は、建築専門雑誌「住宅建築」「新建築住宅特集」「日経アーキテクチュア」の3誌の1975年5月から1997年12月までに発行された696冊の中で、解体木材を再利用したと思われる事例175件を抽出し、所在地、設計者、建物規模、解体前の建物の部材と再利用後の建物の部材の関係、入手方法、再利用した理由、発案者などについて調査した。その結果、建具、欄間、階段、床の間、玄関部材などは寸法がある程度統一されかつ高級な材料が使われるため、そのままの状態で再利用されやすい傾向にあったが、梁はテーブルの天板や床板など板状に製材されて再利用されることが多かった。また、解体木材の再利用には、施主はもちろん設計者の意識にも深い関係があることがわかった。文献調査とは別に、解体材を販売している商店、民家を再生した設計者、解体材を住宅部材に再利用した設計者と施主などへのヒアリングと実例調査を行った。実例からみた再利用の仕方は多様であった。環境保全の面から一般の再利用に対する意識の高まりはみられるものの、解体材の再利用には、保管場所をはじめ、経済面から解決しなければならない難しい面を多く含んでいることがわかった。 実験の部では、築後年数150年を経た住宅の解体木材(増改築部を含めると150、67、50年経過材)を得て、柱に使用されていたスギ、ヒノキ材について、JIS木材強度試験方法に準拠して曲げ強度、圧縮強度試験を行った。その結果、実験に供した解体木材は平成8年度の実験結果と同様、新材の標準値を上回っており、目視により劣化や著しい断面欠損部分を取り除いた解体木材は、使用に耐え得るものであることが判明した。
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