1996 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの血圧と脂質代謝に及ぼす経口的KとMg負荷の効果の差異とその機序
Project/Area Number |
08680051
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
伊藤 和枝 中村学園大学, 家政学部, 教授 (80104983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 元臣 中村学園大学, 大学院・栄養科学研究科, 教授 (60037322)
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Keywords | カリウム / マグネシウム / 血圧 / 脂質代謝 / ヒト / 経口負荷 / アルドステロン / カテコールアミン |
Research Abstract |
【対象と方法】対象は十分な了解を得た若年女子ボランチア20名である。A・Bの2群に分けcross-over法を用いて、K負荷・Mg負荷をそれぞれ4週間行った。K・Mg期のいずれも同じ検査食を摂取し、各期の6日目よりK負荷はKCL剤(K:1日1877mg)を、Mg負荷はMg(OH)_2剤(Mg:1日411mg)を用いて1日3回毎食後に分服投与した。採血は負荷開始と最終日の早朝空腹時30分安静臥位後に行った。採尿は負荷開始前と負荷後の各2日間24時間蓄尿を行った。血圧は日本コーリン自動血圧計BP8800を用い、期間中毎日毎食前に連続3回測定した。 【結果・考察】(1)K負荷前とMg負荷前の体重・収縮期血圧・拡張期血圧・血清脂質・血糖値・尿中Na・K・Ca・Mg排泄量に差はなかった。K負荷では、(1)尿中K排泄量は負荷前:1451mg、後:3455mg/dayで、負荷後に有意に高かった(p<0.001)。尿中Na・Mg・Ca排泄量は差は認めなかった。尿量は有意に増加した。尿中K排泄量変化率とNa排泄量変化率に有意の正相関を認めた。(2)収縮期血圧、拡張期血圧は、いずれも有意に低下した(3)血漿レニン活性に差はなく、尿中アルドステロン(p<0.001)・カリクレイン排泄量(p<0.01)はいずれも有意に増加し、尿中ノルアドレナリン排泄量は有意に低下した。(4)重回帰分析では、収縮期血圧の変化率(後/前)に尿量と尿中アルドステロンが負に回帰された。拡張期血圧にも尿量が負に、体重が正に有意に回帰された。Mg負荷では、(1)尿中Mg排泄量は負荷前72mg、後147mg/dayと有意に増加した。(2)収縮期・拡張期血圧ともに差はなかった。(3)血漿レニン活性は有意に低下した(p<0.05)。(4)尿中アルドステロン・カテコールアミン・カリクレイン排泄量はいずれも差はなかった。(5)重回帰分析では、収縮期血圧変化率には尿中ドーパミン排泄量が負に、拡張期血圧には尿中Na・ドーパミン排泄量が負にいずれも有意に回帰された。 【まとめ】血圧には、K負荷による降圧効果がMg負荷より大であると考えられた。K負荷では、レニン・アンジオテンシン系、交感神経抑制による降圧機序が、Mg負荷ではドーパミンを介したNa利用による機序の可能性が示唆された。
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