1997 Fiscal Year Annual Research Report
遠隔地農業の成立条件からみた古典的農業立地論の再検討
Project/Area Number |
08680173
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
水野 勲 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (50209764)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 博夫 お茶の水女子大学, 文教育学部, 教授 (20004377)
岩動 志乃夫 宮崎女子短期大学, 講師 (60221074)
横山 淳一 宮崎大学, 教育学部, 教授 (00041004)
|
Keywords | 農業立地論 / 遠隔地農業 / 規模の利益 / 輸送費の逓減 / 高付加価値農業 / 地代の季節変動 / 地域間分業 / ダイコン |
Research Abstract |
遠隔地農業に焦点をあてて古典的農業立地論を再検討するために、前年度の調査、研究をふまえつつ、数理モデル構築、古典的テキスト解釈、フィールドワークを結びつけた共同研究を行った。9月に宮崎大学において研究会を開き、それぞれの研究成果を報告し、雑誌論文として投稿した。その成果をまとめると次のようになる。 〔水野〕古典的農業立地論にある土地肥沃度の均質性と輸送網の等方性の前提では、遠隔地農業の成立は説明できない。宮崎農業が冬季の温暖を有効に活用して、いわゆる季節外れ野菜を大量に生産、輸送することで産地形成を行っていることに注目して、シミュレーション・モデルを作った。その結果、遠隔地に一時的に特定の農産物の産地が形成されることを示した。 〔横山〕古典的農業立地論はさまざまな問題をかかえつつも、現代において有効な視座を提供することを、テキストにそくして示した。宮崎農業の成立を考える場合、大都市近郊農業とは違った空間スケールでの地代曲線を算出せねばならず、それを行なえばチューネンの理論は遠隔地農業の成立をも説明しうる。 〔岩動〕宮崎の冬季の代表的農産物であるダイコン生産とその加工品産業についてフィールドワークによって調査した。その結果、ダイコン生産は宮崎県内でも田野町、清武町を中心とした産地に集中しており、しかもそれは近年になって形成されたものであることがわかった。このような産地の移動は、切り干しダイコンや漬け物などの加工食品業の発達と切り離せない。ダイコンの漬け物産業は遠く名古屋、京都の業者によって行なわれ、その下流部分を宮崎農業が担っていることがわかった。
|
Research Products
(2 results)