1998 Fiscal Year Annual Research Report
現代青少年の人権意識の調査と人権学習を核とする中学校社会科の総合単元の開発
Project/Area Number |
08680269
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Research Institution | YOKOHAMA NATIONAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
影山 清四郎 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (60089563)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 善英 横浜国立大学, 教育人間科学部, 助教授 (50115557)
西脇 保幸 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (80228246)
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Keywords | 規範的知識・判断 / 功利的判断 / 自己関与 / 問題解決学習 / 自治的活動と社会参加 |
Research Abstract |
1 今年度の研究課題:平成8年度の教科書分析と9年度の社会科授業研究をふまえて、青少年の人権意識の調査と分析を行うことを主たる課題とした。 2 調査の結果:(1)人権という言葉に関するイメージは、「暗い」「冷たい」というものが目立つ。(2)人権の情報源は学校教育、とりわけ社会科の貢献が大きい。(3)自由と平等に関するイメージは、自由を「自分らしさ」に求め、平等を形式的平等に求めている。(4)人権問題を意識した場面は、一般的・抽象的な人権問題が多く、(5)具体的問題場面の判断は、自己関与の低い人権問題については規範的な判断を下し、自己関与の可能性が高い問題については功利的に判断する傾向がある。 調査の結果から、青少年の人権意識は、個人的・主観的・規範的な傾向があり、社会的・客観的・行為的意識の希薄さが特徴的であった。そこには、規範的判断と功利的判断の対立が見られ、学校段階が上がるにしたがって、自己関与の高い問題に関しては功利的になる傾向があると分析した。 3 人権教育の課題:規範的な知識を教える狭い意味での人権教育から、人権教育を歴史分野・地理分野と関係づけたり、他教科とも関連させた総合的な人権教育への転換と具体的問題場面に即した問題解決的な人権教育の必要性を明らかにし、中学校社会科の内容構成の原理的解明を行った。また、人権教育推進のために、青少年の自治的活動と社会参加の活発化と開かれた学校づくりの必要性について解明した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 影山清四郎: "教科教育と人間形成(I)-児童の学習参加状況の観察をとおして-" 横浜国立大学教育人間科学部 附属教育実践研究指導センター紀要. 第14号. 53-68 (1998)
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[Publications] 北川善英: "フランス社会-ストライキとデモの意義と効用" 日本の科学者. Vol.33-No.4. 26-27 (1998)
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[Publications] 影山清四郎・広瀬敏雄編: "「生きる力としての問題解決力を育む授業」" 黎明書房, 228 (1999)
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[Publications] 北川善英: "「平和と人権の課題一子どもの権利条約と子どもの最善の利益」" 大阪経済法科大学出版.「自由・平等・民主主義と憲法学」(長谷川他編所収, 385 (1998)