1996 Fiscal Year Annual Research Report
IgEを介さない新しい喘息様病態発現メカニズムの解析とマウスの系統差に関する研究
Project/Area Number |
08680588
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
市瀬 孝道 国立環境研究所, 地域環境研究グループ・大気影響評価研究チーム, 主任研究員 (50124334)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嵯峨井 勝 国立環境研究所, 大気影響評価研究チーム, 総合研究官 (80124345)
|
Keywords | 気管支喘息 / ディーゼル排気微粒子(DEP) / 好酸球浸潤 / 粘液産生細胞数 / マウスの系統差 / IgE抗体価 / IgG1抗体価 / 気管内投与 |
Research Abstract |
我々はこれまで、ディーゼル排気微粒子(DEP)をアレルゲンと共にマウスに気管内投与すると、好酸球の浸潤を伴う慢性的気道炎症等の気管支喘息の基本的病態が発現するとともに、マウスの系統によってその病態発現の程度が著しく異なることを見いだした。 今回、このマウスの系統の差から喘息様病態発現のメカニズムを解析することを目的に、5系統のマウスに、0.05mgのDEPを毎週一回ずつ12回、OAは1μgを3週間に1回ずつ4回気管内投与し、最終投与の24時間後に屠殺して肺の病理標本を作成し、喘息様病態指標の計測を行った。さらに、血清を分離し、その中のIgEとIgG1抗体価を測定した。 その結果、血清中IgE抗体価はどの系統のマウスにおいても変化しなかった。一方、血清中IgG1抗体価は、CBA,BDF,ICR,C57/BL,C3H/Heの順に増加し、系統間の抗体価(titer)は200位から20万まで増加していた。また、気道粘膜周辺への好酸球浸潤と気道上皮の粘液産生細胞の過剰増生等もIgG1増加の順に増加しており、好酸球浸潤の割合と粘液産生細胞の増生割合はIgG1値との間に統計的に有意な相関性が認められた。 これらの結果から、気道炎症や粘液過剰産生のような喘息様病態の発現は、IgEとではなく、IgG1と関連しているものと考えられる。今後は、さらに定量的な検討を行う予定である。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] M.Sagai,T.Ichinoseら: "Biological effects of diesel exhaust particles.IV.Pathogenesis of asthma" Free Radical Biol.Med.21,. 199-209 (1996)
-
[Publications] 嵯峨井勝,市瀬孝道ら: "酵素的反応によるディーゼル排気微粒子(DEP)からの活性酸素の生成" 磁気共鳴と医学. 8,. 101-104 (1996)
-
[Publications] T.Ichinose,M.Sagaiら: "Lung carcinogenesis and formation of 8-hydroxydeoxyguanosine in mouse lung by DEP." Carcinogenesis,. 18,. 185-192 (1997)
-
[Publications] 嵯峨井勝,市瀬孝道ら: "ディーゼル排気微粒子(DEP)による呼吸器疾患〜気管支喘息,アレルギー性鼻炎と肺癌〜"