1996 Fiscal Year Annual Research Report
岩手県船越湾における海草藻場・タチアマモ群落の構造と葉上動物群集の解析
Project/Area Number |
08680594
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
相生 啓子 東京大学, 海洋研究所, 助手 (90107459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 輝久 東京大学, 海洋研究所, 助手 (60215390)
仲岡 雅裕 東京大学, 海洋研究所, 助手 (90260520)
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Keywords | 沿岸生態系 / 保全 / 分布 / アマモ / タチアマモ / 光量子 / 巻貝 / 付着藻類 |
Research Abstract |
(1)沿岸環境生態系のなかで、最も保全の重要性が指摘されてきている海草藻場の把握のための手法として、精密小型音響側深機を使用し、船上からの藻場の分布と面積を測定するための調査をおこなった。岩手県船越湾吉里吉里地先のアマモ及びタチアマモ群落の面積は50.6ヘクタールと試算された。分布域の最大水深は16メートルで、最大草丈が約7メートルに達するものが記録された。 (2)吉里吉里の漁港内部のタチアマモ群落と、港外の群落におけるパッチ状群落内部の光条件を比較するために、メモリー光量子計による光量子の分布を測定した。測定結果は現在解析中である。 (3)アマモは5月末頃より花株が急激に生長し、6月には花穂を形成して結実する。他方タチアマモの花株は秋から生長を開始し冬も長いタイプの栄養株が存在している。開花結実は6月から7月でアマモより季節的に遅れることが解った。 (4)アマモとタチアマモの2種の海草群落から、それぞれ海草と巻貝を定量的に採集し、巻貝のコムラサキバイが常時アマモに優先的に生息していることが明らかになった。巻貝のアコヤシタダミの固体群密度は、海草種間で違いがなかった。両種固体群密度の季節変化は海草の現存量の変化に同調するが、アコヤシタダミでは、アマモの現存量が多い時期でも固体数が著しく減少した。この理由として種内の餌となる海草についている付着藻類の消費にかかわる競争によるものと予測される。
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