1997 Fiscal Year Annual Research Report
マウス神経冠細胞移動パターンの3次元画像解析-細胞外基質分子の役割
Project/Area Number |
08680791
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊藤 一男 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00193475)
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Keywords | マウス神経冠細胞 / 移動パターン / 3次元画像解析 / 細胞外基質分子 |
Research Abstract |
本年度は、以下の研究を行った。 (1)前年度の研究において示唆されたマウス胴部神経冠細胞の移動様式形成におけるコンドロイチン硫酸プロテオグリカンの重要性を立証するために、硫酸化プロテオグリカン合成阻害剤(β-D-xyloside,sodium chlorate)で処理されたマウス胎児における胴部神経冠細胞の移動様式を3次元画像解析により詳細に検討した。その結果処理胎児においては、正常胎児で観察された様な移動様式は完全に消失していた。さらに、移動様式の規則的経時変化も観察されなかった。以上の結果は、コンドロイチン硫酸プロテオグリカンの硬節内分布の規則性をもった時間的・空間的変化が、マウス胴部神経冠細胞の移動様式形成に重要であることを示す。 (2)マウス頭部神経冠細胞の移動様式が、胴部の場合と同様な手法を用いて解析された。本研究では、比較的知見の少ない前・中脳領域における神経冠細胞の移動に注目した。その結果、5体節期にはすでにこれらの領域において神経冠細胞の出現が見られ、12体節期には顔面・下顎部の間充織に広く分布することが判明した。さらに中枢神経冠細胞の移動に関して興味ある知見が得られた。すなわち多くの中脳神経冠細胞は、中・後脳境界付近の間充織を移動し、三叉神経形成領域および上・下顎弓に分布した。中・後脳境界領域が、FGF-8の特異的発現等において示唆されるように、特殊な領域であること考慮すれば、この観察の意味する事柄について今後十分に検討する必要があると考えられる。
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