1997 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝的および実験的大脳皮質形成不全動物をモデルとした神経回路発達遅延機序の解析
Project/Area Number |
08680824
|
Research Institution | DOKKYO UNIVERSITY SCHOOL OF MEDICINE |
Principal Investigator |
上田 秀一 獨協医科大学, 医学部, 教授 (60150570)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相川 満寿夫 獨協医科大学, 医学部, 助手 (00049256)
岡 敦子 獨協医科大学, 医学部, 講師 (50175254)
|
Keywords | S-100β / セトロニン / ニュータントマウス / 大脳皮質 / 回路形成 / 免疫組織化学 / 細胞移動 / 活性酸素 |
Research Abstract |
Polydactyly Nagoyaマウスは多指症に加え,嗅球欠損,脳梁低形成,部分的大脳皮質形成障害を示すミュータントマウスである。このマウスのホモ(Pdn/Pdn)では,脳におけるS-100βタンパクが野性型(+/+)やヘテロ(Pdn/+)に比べ生化学的に低下している。妊娠および生直後のこのマウスを用いて免疫組織化学的に解析を行った。Pdn/Pdnでは背側尾部大脳皮質および海馬においてS-100βタンパク陽性のグリア細胞の数の低下(グリア細胞でのS-100βタンパク発現の低下)が観察された。さらに同部位ではセロトニン線維の発達遅延が観察された。また,グリア線維性酸性タンパク(GFAP)およびBrdUによる細胞ラベルの実験から,Pdn/PdnのS-100βタンパク陽性グリア細胞の低下部位では,+/+やPdn/+ではけっして観察されない放射状グリア細胞におけるGFAPの発現および神経細胞の移動障害が観察された。S-100βタンパクはOlfactory placodeの細胞移動に関与するとの報告があり,大脳皮質内でその可能性が示唆された。 遺伝的活性酸素代謝異常を示すミュータントラット(Zitterラット)を用いて免疫組織化学的解析を行った。本ミュータントラットでは加齢に伴い大脳皮質内セロトニン線維およびカテコールアミン線維(ドーパミン,ノルアドレナリン)が変性変化を示すことならびに大脳皮質・脊髄のニューロピル内に空胞変化が起こることを明らかにした。また脳幹に存在するこれら線維の起始核ニューロンにアポトーシスが起こることが示唆された。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Ueda,S.: "Local disturbance of neuronal migration in the S-100β-retarded mutant mouse" Cell Tissue Res.289. 547-551 (1997)
-
[Publications] Ishizuya-Oka,A.: "Temporal and Spatial Regulation of a Putative transcriptional repressor implicates it as playing a role in thyroid hormone-dependent organ transformation" Dev.Genet.20. 329-337 (1997)
-
[Publications] Yoshimoto,K.: "The effects of 6R-L-Erythro-5,6,7,8-tetrahydrobiopterin on ethanol-induced sleep time and ethanol elimination in inbred strains of mice with different alcohol preference" Neuropsychobiology. 36. 188-193 (1997)
-
[Publications] Ueda,S.: "Age-related degeneration of the serotoninergic fibers in the zitter brain" Synapse. (in press).