1996 Fiscal Year Annual Research Report
脳神経系における細胞接着分子と細胞膜裏打ち構造との相互作用の解析
Project/Area Number |
08680875
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
国本 学 国立環境研究所, 環境健康部, 主任研究員 (20142101)
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Keywords | 神経細胞接着分子 / L1 / 脳アンキリン / 小脳発生 |
Research Abstract |
脳神経系における細胞接着分子と細胞膜裏打ち蛋白質の相互作用の意義を分子レベルで明らかにするため、神経細胞接着分子L1と細胞膜裏打ち蛋白質脳アンキリン(ankyribB)に着目して、まず、脳神経系の発生段階における神経細胞でのL1及びankyrinBの発現量と局在の変化をimmunoblot法及び免疫組織化学染色により解析した。ラットの小脳発生過程において、ankyrinBは胎生14日目より有意に発現されており、その後発現量は増加し、440-KD ankyrinBは生後10-15日目でピークに達する。L1の発現量も440-kD ankyrinBと類似の変化を示した。更に生後の分子層形成過程の小脳では、220-kD ankyrinBはプルキンエ細胞、顆粒細胞の細胞体、樹状突起に、440-kD ankyrinBは形成中の分子層と白質の神経繊維に局在するが、L1の局在は440-kD ankyribBにほぼ完全に一致した。一方、出生直後のラット小脳から調整した初代培養神経細胞では、440-kD ankyrinBは神経軸索に局在するが、L1はその発現がimmunoblot法で確認されたにも関わらず免疫組織化学染色では有意に検出できなかった。alternative splicingによって生ずる220-kD及び440-kD ankyrinBは全く同一の膜結合部位(L1と相互作用する部位)を有するにも関わらず、L1の局在は440-kD ankyrinBは一致したことから、この選択的相互作用には更に別の因子が関与していることが示唆された。そのもっとも有力な候補は、440-kD ankyrinBに存在する分子量220kDの特異的な挿入部分と考えられた。
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