1998 Fiscal Year Annual Research Report
身体的コミニュケーションの比較民族学的研究-身体接触と身体共鳴を中心に
Project/Area Number |
09041043
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
野村 雅一 国立民族学博物館, 民族学開発センター, 教授 (60142014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 惠里子 筑波大学, 現代語・現代文化学系, 講師 (20292493)
藤田 隆則 大阪国際女子大学, 人間学部, 助教授 (20209050)
卜田 隆嗣 島根大学, 教育学部, 助教授 (40202113)
中川 真 京都市立芸術大学, 音楽学部, 助教授 (40135637)
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Keywords | 身体 / コミニュケーション / 舞踏 / 身体共鳴 / 身体技術 / 子ども |
Research Abstract |
生活環境をことにする社会での身体的コミュニケーションのありようを比較検討する3年計画の本研究は、今年度で2年目に入り、中心的テーマである身体接触と身体共鳴の調査を各地でほぼ当初の予定どおりおこなった。 代表者の野村は、北ギリシアの諸民族集団を広域的に調査し、バルカンの社会生活において大きな意味をもつダンスが、地域と集団によって微妙に変化しながらも、翻訳可能性をもつことを確認した。また、社交生活の中心になっているカフェニオ(茶店)と家屋内の行動様式のちがいをギリシアの各地で検証した。 インドネシアの民族音楽を研究する中川は、ジャワの伝統舞踊における身体共鳴を調査し、複数の踊り手による舞踏体系と、身体のイメージをもつかれらの宇宙形象との照応をみいだした。また、教習過程における身体の共鳴作用の役割、音と身体のからみあいの諸レベルを記述しえたのは大きな意義があった。 ト田はボルネオ島のプナンとクニャの調査を継承しておこなった。かれらの歌唱パフォーマンスの場での身体共鳴が、ラジカセなどの導入によってあきらかな編かをしめしていることに注目し、その諸相を記録した。さらに、海洋民族的性格をもつ同島のブギス人の身体共鳴を予備的に調査した。 初年度にひきつづきフィリピンを調査した藤田は、今回はキリスト教化されていないイフガオ州の山岳地帯に焦点をあて、身体的技術の学習・伝承の様態を記録した。 山口は座る場に着目して研究をすすめているが、南イタリアとギリシアで座具と姿勢との関連、またそれが対人コミュニケーションにおよぼす影響を検討した。 以上の徴さないようは民族誌的にも貴重な価値をもつが、その成果は随時発表していくとともに、来年度に総括し、まとまった形で公刊する予定である。
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[Publications] 野村雅一: "親子の接触コミニュケーション" 児童心理. 4月号. 107-112 (1999)
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[Publications] 野村雅一: "ひげと手の政治" IS. 81. 55-60 (1999)
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[Publications] 野村雅一: "ヨーロッパの食事作法" 講座 食の文化. 第5巻(印刷中). (1999)
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[Publications] 卜田隆嗣: "中央ボルネオの森・カミ・表象-プナンとクニャ" 講座人間と環境. 第11巻(印刷中). (1999)
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[Publications] 山口惠里子: "プードワールの女たちと笑う理髪師-ピアズリーの女性像" 英語青年. 144・5. 17-20 (1998)
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[Publications] 山口惠里子: "ショールのレトリック-ヨーロッパ移動民の身体イメージ" 装いの人類学. 167-194 (1999)
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[Publications] 野村雅一: "技術としての身体" 大修館書店(印刷中), (1999)