1998 Fiscal Year Annual Research Report
タイ・バングラデシュ・日本における保健 衛生知識の普及と学校教育-心理・教育人類学的アプローチ-
Project/Area Number |
09041052
|
Research Institution | THE UNIVBERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
箕浦 康子 東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (20135924)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ALI M.Ashraf ダッカ大学, 教育研究所, 教授
野津 隆志 神戸商科大学, 一般教育部, 教授 (40218334)
北脇 秀敏 東洋大学, 国際地域学部, 教授 (60251344)
土方 苑子 東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (50099909)
衛藤 隆 東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (20143464)
|
Keywords | タイ / バングラデシュ / 農村 / 開発 / 教育 / 心理人類学 / 保健衛生 / 就学規範 |
Research Abstract |
タイ、バングラデシュ、日本は産業化の進展、学校制度の確立度、宗教の生活全般への浸透度、女性の地位に大きな違いがある。こうした違いが、保健行動や通学規範の形成にどのように関わっているのかを、村落の集中的フィールドワークにより明らかにした。 1 バングラデシュでは、1990年代になっても小学校修了者は当該コーホートの約34%で、未就学率・脱落率ともに高いことが問題であった。政府は、就学率・卒業率を引き上げるために、food for educationを1993年より開始したが、調査の結果、この政策は、就学者を増加させたが、出席率は上昇していなことが明らかになった。 2 日本とタイの事例研究から、初等教育への国民皆就学は、政府の強力な政策展開の結果であることがわかった。 3 タイ東北部における中等教育の普及は、高度経済成長と関係が深かったが、バングラデシュでは、人口政策の一環として女子の中等教育就学促進策がとられていた。 4 パラメディカルスタッフ中心のタイの農村の診療所は、地域の人材を活用することで村人の信頼を得ていたのに比し、バングラデシュの診療所は、スタッフの意欲が低かった。 5 バングラデシュにおいて、下痢治療に使う経口補水液、安全な井戸水、改良便所などの保健知識は、村人の日常意識の一部となっていた。 三国の比較より近代のメンタリティともいうべき年齢意識、通学規範、身体管理のスキル、健康観念などの形成に、学校制度や保健行政諸制度が大きな役割を果たしていた。
|
Research Products
(2 results)