1999 Fiscal Year Annual Research Report
森林・農地の環境保全及び経済機能を考慮した最適ランドスケープ・マネジメント
Project/Area Number |
09041071
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Research Institution | MIYAZAKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
吉本 敦 宮崎大学, 農学部, 助教授 (10264350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 哲 宮崎大学, 農学部, 助教授 (00231150)
吉本 陽子 三和総合研究所経済, 社会政策室, 主任研究員
庄司 功 筑波大学, 社会工学系, 助教授 (20282329)
寺岡 行雄 鹿児島大学, 農学部, 講師 (40264105)
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Keywords | 森林経済学 / 森林生態学 / 森林測樹学 / 農地利用政策 / 統計学 / 種多様性 / ランドスケープ・マネジメント / 確率モデル |
Research Abstract |
本研究の目的は、森林・農地資源の保有するであろう機能を環境保全と経済の立場からそれぞれ評価できるモデルを提示し、シミュレーション分析により持続性を追求した森林・農地の最適ランドスケープ・マネジメントのあり方について分析することである。 本年度の調査を通して得られた知見は以下の通りである。 1)ランドスケープマネジメントを考慮した空間制約下の最適森林計画モデルを構築し、伐採パターンの変化が如何にランドスケープに影響を与えるか分析を行った結果、隣接する林分の伐採間隔を長くすれば、林齢分布・林齢格差分布がHeterogeneousになり、種多様性に貢献することが予想されるが、その反面、経営利益がかなり減少することが分かった。 2)米生産経営に関し、農地の経営行動に「経営の維持」と「経営の放棄」のオプションを導入した確率制御モデルを構築し、市場自由化導入に対する分析を行った結果、米価格の変動幅が上昇した場合、農家が経営を維持できる最低価格レベルが低下していくことが分かった。 3)米国の林縁を有するブナ老齢林において、低木層の刈り払い処理が地表の光環境および下層植物の種多様性に及ぼす影響を評価した。その結果、刈り払い処理は光環境の改善と種多様性の回復に有効であるが、その影響は一時出来であり、種多様性の維持には高頻度の処理が必要であることが示唆された。 4)森林の経済的管理に対する制約因子の一つとして、希少種ハナガガシ(絶滅危惧種I B)の個体群の保全を想定し、集水域の地形特性がハナガガシ個体群の構造と動態に及ぼす影響を解析した。その結果、流路密度に代表される地形発達度の違いが、斜面長および斜面上方の土壌水分条件を通してハナガガシの個体密度に影響することが明らかとなり、ハナガガシ個体群の保全には、流路発達度に応じた集水域ごとの取扱が必要であることが示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 松田 敦,伊藤 哲,野上 寛五郎,山下 寿之: "絶滅危惧種キナガガシの個体群構造と立地環境"第110回日本林学会大会. (1999)
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[Publications] 松田 敦,伊藤 哲,高木正博,野上寛五郎: "常緑広葉樹二次林におけるイスノキ、コジイおよびハナガガシの成長"第55回日本林学会九州支部大会. (1999)
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[Publications] 伊藤 哲,松田 敦,高木正博,野上寛五郎: "ハナガガシの個体群動態に及ぼう流域地形の影響"第47回日本生態学会大会. 発表予定. (2000)
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[Publications] 伊藤 哲,寺岡行雄,G.P.Buckley: "英国南部のブナ老齢造林地における下層植生の多様性 -林縁および低木層除去処理の効果-"第111回日本林学会大会. 発表予定. (2000)
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[Publications] Yoshimoto,A.and Shoji,I.: "Comparative analysis of stochastic models for financial uncertainty in forest management"IV Congreso Mexicano Sobre Recursos Forestales. (1999)
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[Publications] 吉本 陽子: "21世紀に向けた新農政への期待"SRIC Report. Vol.5(No.1). (1999)