1999 Fiscal Year Annual Research Report
シベリア湿原における大気環境汚染調査と環境影響の評価
Project/Area Number |
09041120
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
太田 幸雄 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00100058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深沢 達矢 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80292051)
村尾 直人 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00190869)
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Keywords | シベリア湿原 / 大気環境汚染 / 北極ヘイズ / ノリリスク / チクシ / 沈着・蓄積 / 硫酸イオン / 重金属 |
Research Abstract |
今年度も過去2年間に引き続き、1999年12月までの予定でヤクーツクおよびチクシの郊外において大気エアロゾルのサンプリングを継続している。1999年の9月にヤクーツクに赴き、サンプリングシステムの点検・整備を行い、またチクシのサンプリングシステムについても担当者と討論・検討した。エアロゾルサンプルを北海道大学に持ち帰り、化学組成分析を行った。これまで2年間の結果と会わせて考察したところ、特にチクシにおいて冬季〜春季にかけて黒色純炭素、有機物および硫酸イオン成分の濃度が増加しており、また鉛、亜鉛、銅、マンガン、砒素等の重金属成分(汚染成分)の濃度も同時期に大きく増加している。これらの結果からチクシにも確実に北極ヘイズが到来していることが明らかとなった。また、昨年までに調査したノリリスク、チクシおよびヤクーツク土壌中の硫酸イオンおよび重金属成分の沈着蓄積量を算出した。次に、ノリリスクの工場群から排出された二酸化硫黄ガスについて、大気拡散モデルによる計算を行い、ノリリスクを中心とする500km四方の水平濃度分布を算出した。この結果を基に硫酸イオンエアロゾルおよび重金属エアロゾルも二酸化硫黄の濃度に比例して分布するものとし、硫酸イオンおよび重金属成分の乾性沈着量について計算したところ、硫酸イオン成分については計算値が実測値に比べて数倍〜50倍となり、ほぼ乾性沈着により沈着・蓄積量が説明できるが、重金属成分については数10分の1〜数100分の1となり、乾性沈着による寄与は非常に小さいことがわかった。すなわち、硫酸イオン成分は二酸化硫黄ガスの乾性沈着により沈着・蓄積されているが、重金属成分については恐らく湿性沈着により沈着・蓄積されているものと思われる。
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