1999 Fiscal Year Annual Research Report
森林火災が北方ユーラシアの生物圏・凍土圏の生物多様性と炭素循環に与える影響の研究
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09041140
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
高橋 邦秀 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (80281707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 正巳 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (70002160)
澁谷 正人 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (10226194)
波多野 隆介 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (40156344)
福山 研二 森林総合研究所, 北海道支所, 研究室室長
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Keywords | 北方ユーラシア / 森林火災 / カラマツ林 / 植生 / メタンフラックス / 亜酸化窒素フラックス / 二酸化炭素吸収量 |
Research Abstract |
1.バイオマス推定のための林分調査を継続し、新たに23年生林、50年生林、120年生林、成熟林(230年以上)の毎木調査を行った。推定された地上部現存量は、それぞれ20t/ha、31t/ha、150t/ha、139t/haとなり、既往のデータを含めると、ヤクーツク周辺のカラマツ林の最大現存量は150t/ha前後と推定される。葉量は1.5〜2.5t/haであり、日本のカラマツ林と比べると小さい。地上部の二酸化炭素固定量は120年生林で約270t/haとなる。 2.調査地周辺で観察した木本種と草本種はそれぞれ16種と89種であった。森林火災後の林分に共通する優占種はヤナギランであるが、高木種の侵入や蘚苔類の優占度は異なっていた。成熟林からアラス草地接する林縁部は林内と草地の植物種が混在して種多様度が高くなっており、草地では土壌水分の乾湿や高いpHに対応する指標性のある草本種が見られた。 3.火災履歴に関わらず、砂質ポドゾル土壌の地点において、土壌は大気CH_4を吸収していた。この吸収フラックスは、ヨーロッパ北方林と同程度であり、ロシアの非永久凍土地帯乾性ポドゾル性土壌におけるCH_4吸収フラックスよりも小さかった。一方、湿地化したアラス水際の地点ではCH_4放出が認められた。N_2Oフラックスは、これまで熱帯および温帯の森林で測定された放出フラックスよりも小さい値であった。 4.これまでの調査から、植物-土壌生態系が大気から正味に吸収するCO_2量を算出した。調査地のカラマツ成熟林における純生産量は129(gC/m^2/y)であり、温帯、熱帯の森林あるいは畑に比べて同程度もしくは小さいが、亜寒帯林と同程度であり、大気のCO_2を吸収するシンクとして振る舞っている。しかしながら、強い森林火災を受けた地点では純生産量が負(-88gC/m^2/y)であり、大気へのCO_2ソースとなっている。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Fukuyama, K., et al.: "Soil Micro-arthropods in a Siberian Permafrost Area at 1 Year and 5 Years after Wild Fire"Edaphologia. 63. 75-80 (1999)
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[Publications] Shibuya, M., et al.: "Allometry and biomass in a 22-year-old stand of Larix cajanderi in eastern Siberia"Proc. of the Seventh Symposium on the Joint Siberian Permafrost Studies between Japan and Russia in 1998. 25-32 (1999)
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[Publications] Sawamoto, T., et al.: "Soil respiration and fluxes of N_2O and CH_4 in Siberian-Taiga ecosystems with different histories of forest fire"Proc. of the Seventh Symposium on the Joint Siberian Permafrost Studies between Japan and Russia in 1998. 77-89 (1999)
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[Publications] 高橋邦秀: "シベリアタイガの森林は壊れているか"しゃりばり. 212. 40-43 (1999)
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[Publications] 高橋邦秀: "北方林の環境問題―シベリアタイガを中心として―"資源テクノロジー. 272. 2-8 (1999)
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[Publications] 福田正己,高橋邦秀: "シベリアタイガの破壊が何をもたらすか"科学(岩波書店). 69. 568-571 (1999)
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[Publications] Sawamato T. et al.: "Soil respiration in Siberian Taiga ecosystems with different histories of forest fire (印刷中)"Soil Sci. Plant. Nutri.. 46. (2000)