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1998 Fiscal Year Annual Research Report

アラル海流域における飲料水の農薬・塩分汚染と健康被害

Research Project

Project/Area Number 09041157
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

石田 紀郎  京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (80026434)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 辻村 茂男  滋賀県立琵琶湖研究所, 研究員 (60300969)
小崎 隆  京都大学, 農学研究科, 教授 (00144345)
竺 文彦  龍谷大学, 理工学部, 教授 (50131040)
中原 紘之  京都大学, 農学研究科, 教授 (80026567)
Keywordsアラル海 / 潅漑農業 / 飲料水 / 塩分 / 貧血 / 環境破壊
Research Abstract

中央アジアにおいて旧ソ連邦が展開した大規模灌漑農業はアラル海流域に今世紀最大の環境破壊をもたらした。水循環系の破壊・農地の砂漠化と塩害化、世界に類を見ない乳児死亡率など深刻な健康障害の発生などが報告されているが、その原因と目される農薬・塩分汚染の実態調査は進んでいない。本研究は農薬・塩分汚染と健康障害の関係を明らかにし、住民の健康障害の発生の原因とメカニズムを明らかにするものである。
1998年度はシルダリア川流域のクジルオルダ州カザリンスク地区を主調査対象地域として、飲料水の水質検査を実施した。対象集落は15であり、いずれの集落も1970年代に利用していた地下水(浅井戸)の水質が悪化し、1980年代に新たに深井戸を掘削して現在に至るまで利用している。これらの深井戸も水量は豊富であるが、水質、とりわけ塩分含有率は高く、飲用には適さないものであるが、他に水源を求めることができないため、この水に全生活用水を依拠している。飲料水中の塩分濃度(Na,K,Ca,Mg濃度の合計値)は数百ppmから1200ppmと極めて高く、水質基準値を大幅に上回っている劣悪なものであることが判明した。さらに、経済・社会的混乱の中で、既存の浄水設備の老朽化は激しく、修理費用あるいは電力不足のため、ほとんどの設備は稼働していない。それゆえ、塩素消毒がされていない生水の飲用から、児童の感染症が近年多発している実態を明らかにした。
また、調査対象集落のうち5集落の住民(女性)を対象に血液検査を実施し、貧血症の多発を確認した。とりわけ妊婦の貧血症発生率は80%を越えており、胎児への影響が懸念される。現在、飲料水の水質と貧血症、感染症との関係を環境地理学的情報を集積しながら解析中である。これらの解析結果から、アラル海問題を惹起した大規模灌漑農業の展開の歴史との関連性を考察しつつある。

  • Research Products

    (3 results)

All Other

All Publications (3 results)

  • [Publications] ISHIDA, N.: "BHC Pollution in the Aral Sea basin" Sustainable Use of Natural Resources of Central Asia. 169-173 (1998)

  • [Publications] 中原 紘之: "乾燥地における大規模潅漑と河川・湖沼の水質・生態系-中央アジアの河川・湖沼の水質・生物柤の特徴と変化-" 水文・水資源学会誌. 12・2. 177-189 (1999)

  • [Publications] 中原 紘之: "アラル海の水質と生物" 日本カザフ研究会誌. 5. 1-10 (1997)

URL: 

Published: 1999-12-13   Modified: 2016-04-21  

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