1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09041161
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
茂原 信生 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (20049208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 博文 国立科学博物館人類研究部, 研究官 (70209617)
三枝 春生 兵庫県立姫路工業大学自然環境科学研究所, 助手 (70254456)
國松 豊 京都大学霊長類研究所, 助手 (80243111)
高井 正成 京都大学霊長類研究所, 助手 (90252535)
瀬戸口 烈司 京都大学大学院理学研究科, 教授 (20109086)
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Keywords | 新猿類 / 進化 / 新新世 / ボンダウン |
Research Abstract |
本年度の活動内容 本年度は、ミャンマー中部のポンダウン地域、タイのバン・ナ・サイ地域、中国遼寧省の3地域で発掘調査をおこなった。また発見された化石の形態比較のために北京の古脊椎動物及古人類研究所とフランスのパリ人類学博物館で観察と計測をおこなった。 今年度は特に、ミャンマーのポンダウン地域に広がる中期〜後期始新世のポンダウン層の発掘調査において、古霊長類学上、非常に重要と思われる発見があった。 まずこれまでに同地域で発見されていたポンダウンギアとアンフィピテクスのどちらとも明らかに異なる小型の霊長類化石が見つかった。この新化石は新属・新種であることは確実で、新科を構成する可能性も大きい。原猿類(原始的霊長類)と真猿類(高等霊長類)の中間形態を示しており、中期〜後期始新世に東アジアに真猿類が存在していたことを示している。 また今回ポンダウンギアの上顎骨・上顎大臼歯・切歯・犬歯および頬骨の一部を含む化石が見つかった。この上顎骨の形態は現在解析中であるが、ポンダウンギアに真猿類の重要な特徴である後眼窩壁があったことを示唆しており、小型真猿類化石とともに、アジアにおける真猿類の進化の可能性を示唆している。 これらの霊長類化石は、「初期真猿類の進化の舞台はアフリカ大陸が中心であった」とするこれまでの仮説を覆すものであり、平成10年11月30日の各社の新聞にも記事が掲載された。 またポンダウン層の年代に関しては、これまで火山灰層が発見されていなかったために放射性元素を用いた絶対年代が測定できず、哺乳類化石をもとにした動物化石の比較から中期〜後期始新世と推測されているに過ぎなかった。今回、新たに見つかった火山灰層からは絶対年代が測定できそうなジルコン粒子が発見されており、現在測定中である。これによって、ポンダウンの霊長類化石の絶対年代が特定されると思われる。
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Research Products
(2 results)