1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09041161
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
茂原 信生 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (20049208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國松 豊 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (80243111)
高井 正成 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (90252535)
瀬戸口 烈司 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20109086)
長岡 信治 長崎大学, 教育学部, 助教授 (80244028)
仲谷 英夫 香川大学, 工学部, 助教授 (20180424)
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Keywords | 真猿類 / ヒト上科 / 進化 / 始新世 / 中新世 / ミャンマー / タイ |
Research Abstract |
ミャンマー中部のポンダウン地域に広がる中期始新世(約3700万年前)の地層から新たにアンフィピテクス・モガウンゲンシスの右上顎骨片と頭蓋骨頭頂部の破片を発見した。発見された状況から判断してこれらの標本は同一個体のものと思われる。これまでにアンフィピテクスの上顎および頭骨の標本の報告はなく、またアジア地域の始新世の地層から頭骨の標本も見つかっていない。したがって今回見つかった標本は、世界的に見ても非常に貴重な発見である。現在、昨年度発見された新属霊長類やポンダウンジアの標本とともにその形態学的・系統学的解析をおこなっているが、アジア地域における初期真猿類の進化を示すものとして注目されている。なおこれらの霊長類化石の発見に関する記事が平成11年12月3日、12月7日の各社の新聞に掲載された。 またポンダウン層中から発見された火山灰層中に含まれるジルコン鉱物を用いて、フィッション・トラック年代を算出した。この値は現在論文を準備中であるので公表できないが、ポンダウン層の年代が中期始新世の末期であることが確認された。 タイのバン・ナ・サイ地域の発掘では、中期中新世(約1500〜1400万年前)の地層からヒト上科のものと思われる右上顎大臼歯の化石を発見した。残念ながら1本の遊離歯化石にすぎないので、確実にヒト上科であるとは断言できないが、これまでおこなった予備的な観察ではヒト上科の可能性が強いと思われる。これまで東アジア地域で見つかっていたヒト上科の化石はインド・パキスタンの約1200〜1000万年前のシバピテクスと、中国雲南省の約800万年前のルーフォンピテクスの2種類だけであった。今回の化石がもし本当にヒト上科のものだとすると、これは東アジアの最古のヒト上科の化石であり、東アジア地域におけるヒト上科の進化に関する重要な情報となると思われる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 高井正成: "真猿類はアジアで誕生したのか -原始的霊長類から真猿類への進化を探る"科学. 69(4). 1-9 (1999)
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[Publications] 高井 正成: "ポンダウンの霊長類化石とその年代 -ミャンマーの後期始新世のホニュウ類化石相について-"霊長類研究. 15. 17-38 (1999)
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[Publications] H.Saegusa: "A new-Miocene mammalian locality, Mae Soi and the occurence of partial skeletons of rhinocerotids and gomphothere from northern Thailand"Proceedings of the International Symposium on Shallow Tethys (st). 5. 440-449 (1999)
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[Publications] M.Takai: "New-primate fossils discovered from the late Middle/Late Eocene of the Pondaung Formation.Central Myanmar"American Journal of Physical Anthropology. Suppl.30. 298 (2000)