1999 Fiscal Year Annual Research Report
タイ国の半乾燥熱帯林における生物多様性と生物生産性の相関に関する研究
Project/Area Number |
09041166
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
中村 武久 東京農業大, 地域環境科学部, 教授 (60078136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊原 秀和 東京農大, 国際食料情報学部, 助教授 (10147481)
佐々木 寧 埼玉大, 工学部, 教授 (90162388)
吉行 瑞子 東京農大, 農学部, 教授 (80100824)
皆川 礼子 東京農大, 地域環境科学部, 助手
山口 就平 財団法人進化生物学研究所, 主任研究員
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Keywords | 熱帯乾燥林 / 森林構成種多様性 / 雨季乾季の林相 / アグロフォレストリー / 生物生産性 / 森林生産物 / 産米林 / 乾燥林の昆虫類 |
Research Abstract |
タイ国東北部メコン川沿いの熱帯乾燥林(季節風林)地域で営まれている伝統的な林間農業(アグロフォレストリー)と、周辺地域の生物多様性を調査し、その相関関係を明らかにする研究として行った。調査は植物、動物、植生生態および農業の4グループで行い、この地域において生物多様性の高くなる雨季には農業生産性が低く、多様性の低い乾季には農業生産性が高くなるという、興味ある結果が得られた。 植物多様性班の調査結果は、最小面積法を用いてヘクタール当りの種類数を算出した。調査プロットは前年までのものを含め26地域。それら各地域を比較したところ、林間農業と雨季の森林生物利用が調和のとれているバン・ラオクラム部落周辺が最も多様性に富み、1ヘクタール当たり140〜150種。最も低いのは乾燥フタバガキの混じるソイサワン国立公園の中の80〜100種/ヘクタールである、これは土壌基盤が浅い立地のためで、こうした地域では農業が営まれていない。コウモリやネズミなどの哺乳類と昆虫類を主体とする動物班の調査によれば、同様に人間生活のみられる森林地域が多様性に富むことが示唆されている。群落生態班の結果との照合ができていないが、植生班の特にフタバガキ林の植生調査の結果と照合すると、ラオクラム部落周囲の森林が構造的多様性に富んでいて、これも林間農業との関連を示すものと考えられる。 農業班の調査は、更に多くの地域での林間農業について調査を行い、栽培作物の種類、クロッピングシステムや生産量などの詳細を明らかにしているので、これらと生物多様性関連の結果と合わせ、またバルーンによる空中写真によって図化した森林面積、農地面積等の資料も加えた、総合的成果報告書としてまとめる。
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