1998 Fiscal Year Annual Research Report
抗ORP150自己抗体の慢性期心拒絶反応における役割
Project/Area Number |
09044298
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
遠山 正彌 大阪大学, 医学部, 教授 (40028593)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 俊英 大阪大学, 医学部, 助手 (10301269)
米田 詫成 大阪大学, 医学部, 助手 (70271179)
堀 修 大阪大学, 医学部, 助手 (60303947)
玉谷 実智夫 大阪大学, 医学部, 助教授 (30294052)
小川 智 金沢大学, 医学部, 教授 (90283746)
|
Keywords | Oxygen / stress response / hypoxia / molecular chaperone / Glucose regulated protein / Cardiac transplantation / ischemia / tragsgenic mouse |
Research Abstract |
アストログリアは中枢神経系の中で、虚血にきわめて強い細胞であることに注目し、培養アストログリアを低酸素暴露、新規ストレス蛋白ORP150(150kDa oxygcn regulated protein)のクローニングに成功した。ORPl50は小胞体に存在する熱ショック蛋白の類縁蛋白であり、小胞体に存在する既存のストレス蛋白であるGRP78(78kDa glucose regulated protein)やGRP94同様に、細胞保護因子として機能していると考えられる。本研究では、ORPl50の細胞保護効果に関する基礎的研究を行い、さらに心移植時における、この細胞保護因子の応用に関する基礎実験を行った。ORPl50の分子シャペロンとしての機能を検討するために、遠位側尿細管上皮細胞由来のMDCK(Madin-Darby Canine Kidney)細胞を用いて、ORP150antisense transformant(ORP150(-))株を樹立した。Wild type のMDCK細胞では実際、ORPl50が分泌蛋白であるGP80/ClusterinとERで結合していた。そこで、pulse-chase法を用いた metabolic labelingによる検討を行った。低酸素曝露されたORP150(-)株はwild typeに比べてGP80/ClusterinがERにretentionし、maturationが遅延する傾向を得た。このことは、ORP150が蛋白輸送やmaturationに重要であることを示唆している。 また、ATPクロマトグラフィーやATP kineticsを行い、ATPに対する親和性について検討した。その結果、ORP150は強いATP親和性を持ち、GRP78や94と比べて、より少ないATP濃度でGP80/Clusterinを解離させることが可能であった。このことからORPl50はGRP78などと同様に強いATP親和性を持つだけでなく、これら分子シャペロンの中で最も効率の良い分子シャペロンであることが示された。 HEK(human embryonic kidney)細胞において、ORP150発現のできないcell lineを作成すると、このORP150(-)細胞では低酸素環境において、apoptosisに類似した細胞死が著しく加速され、ORPl50が低酸素環境での細胞機能の維持に必須であることを示唆する。 我々は、アデノウイルスベクターによるORPl50の発現が、神経細胞や心筋細胞の低酸素による細胞障害を軽減することを証明した。このマウスを用いて心移植を行うことにより、ORP150の発現が慢性期拒絶反応期に心筋保護作用を有することを示した。さらに、心移植慢性拒絶反応において、ORP150が心筋細胞を保護する可能性を検討するため、ORPl50を強制発現させたトランスジェニックマウスを作成した。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Ozawa et al.: "ORP150(150kDa oxygen-regulated protein)suppresses hypoxia-induced apoptotic cell death." J.Biol.Chem.(In press). (1999)
-
[Publications] Imuta et al.: "Induction of 72kDa inducible heat shock protein(HSP72)in cultured rat astrocytes after energy depletion." J.Neurochem.70. 550-556 (1998)
-
[Publications] Matsuo et al: "Cloning of a putative vesicle transport-related protein, RA410, from cultured rat astrocytes and its expression in ischemic rat brain." J.Biol.Chem.272. 16438-16444 (1998)
-
[Publications] Tacke et al.: "Human Tra2 proteins are sequence-specific activators of pre-mRNA splicing." Cell. 93. 139-148 (1998)
-
[Publications] Tamatani et al.: "Involvement of Bcl-2 family and caspase-3-like activity peoteinase in NO-mediated neuronal apoptosis." J.Neurochem.71. 1588-1596 (1998)
-
[Publications] Yan et al.: "An intracelluar protein that binds amyloid-beta protein and mediates neurotoxicity in Alzheimer′s diease." Nature. 389. 689-692 (1997)