1997 Fiscal Year Annual Research Report
フランドルの思想・社会・芸術:異文化交流の歴史的研究
Project/Area Number |
09045015
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Research Category |
Grant-in-Aid for international Scientific Research
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Section | University-to-University Cooperative Research |
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
和田 葉子 関西大学, 総合情報学部, 教授 (00123547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BOSSUYT Igna ルーヴェン, カトリック大学・文学部, 教授
TOURNOY Gilb ルーヴェン, カトリック大学・文学部, 教授
加藤 雅人 関西大学, 総合情報学部, 助教授 (90185869)
安川 晃 関西大学, 文学部, 教授 (80067529)
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Keywords | フランドル / 中英語 / 中世オランダ語 / ポリフォニ- / マドリガル / ジョスカン・デプレ / ガンのヘンリクス / スコラ哲学 |
Research Abstract |
和田はフランドル語の中英語への影響を考える上で重要となるブリテン島へのフランドル移民の社会背景を考察した。特にフランドル人を含め様々な民族と言語の坩堝とモザイクの中世ウェールズを中心に研究を進めた。安川はルネサンス期におけるイングランドとフランドルの音楽家の交流によって、洗練されたフランドルのポリフォニ-がイングランドの音楽に与えた影響を調査した。本年度招へいしたボスイット来日の際には、フランドル政府が支援する機関であるベルギー・フランドル交流センターにおいて特別レクチャー・コンサート「ポリフォニ-に見る歓び」を開催した。さらにボスイット著『フランドルのポリフォニ-』の日本語版が安川をチーフとした研究協力者とのチームによって翻訳出版される計画が具体化した。加藤はフランドル人ガンのヘンリクスのパリ大学における哲学的影響について,まず彼の認識論の中心にある「第一認識対象」の説を解明し,つぎに彼の認識論の前提にある存在論的根拠をパリ大学の知的文脈において解明するための準備として,トマス・アクィナスの「存在論的二区分」の思想を解明した.ボスイットは15〜16世紀のドイツにおけるフランドルのポリフォニ-の影響について研究調査をした。トウルノアは15〜16世紀の低地諸国における人文主義とネオ・ラテン文学作家の書簡についての調査・編纂にあたった。ボスウィットの招へいと日本側メンバーのベルギーへの派遣によって、個々の研究分担課題だけでなく最終年度における協同研究全体の成果の出版についても具体的な意見を交換することができた上、来年度よりの新たな研究分担者も得た。
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[Publications] 加藤 雅人: "ガンのヘンリクスにおける『第一の認識対象』" 中世哲学研究. 第16号. 49-63 (1997)
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[Publications] 加藤 雅人: "「トマス・アクィナスにおける存在論的二区分-言語の観点から」" 哲学. 第49号(予定). (1998)
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[Publications] 和田 葉子: "Gerald on Gerald : Self-Presentation by Giraldus Cambrensis′,pp.223-46,Anglo-Norman Studies 20 edited by Christopher Harper-Bill" Boydell and Brewer,U.K., 408 (1998)