1998 Fiscal Year Annual Research Report
日本とヨーロッパとの文化・文明交流の歴史のダイナミクス
Project/Area Number |
09045030
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Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
石井 紫郎 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (00009797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
INEKE Van Pu ルーヴァン, カトリック大学, 講師
WILLY Vande ルーヴァン, カトリック大学, 教授
白幡 洋三郎 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (10135543)
鈴木 貞美 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (60179207)
笠谷 和比古 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (90124198)
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Keywords | 日欧文化 / 文化交流 / 日欧交流史 / 女性雑誌 / ドドネウス / 文化の翻訳 / 翻訳の文化 / ジェンダー |
Research Abstract |
平成10年度は、具体的な例をもとに日欧文化・文明の相互理解と誤解の諸相を検証するためにベルギーの植物学者・ドドネウスと日本の女性雑誌に焦点を絞り、実質的な討議を行なった。これは日欧の学者が同じ材料を共にするというワークショップで検討しようとする意図であった。文化・文明の接触と交流は常に彼我「比較」に基づく自己認識と他者認識め交錯の中で行なわれてきた。どこまで同じでどこから違いが現れるかを検討するには、この事例を冷徹に分析、検討を行なわなければならない。このコンセプトが双方研究者に浸透していたため、共同セミナーでは互いに関心のある問題点が次々に提出された。第一分会「日本におけるジェンダーとモダニティー日本の女性雑誌」では欧米の比較検討の中で、アメリカを等閑視したままでは日欧交流と比較の検討は進展をみないという指摘までだされ、日欧米の関係にまで踏み込むこととなった。すなわち日欧米の女性運動、動的な雑誌を除けば、むしろ総合雑誌がこの問題を啓蒙主義的視角から扱い、多様な意見の交錯する場を作り出しているとの結論に達した。第二分科会「ドドネウスの再評価」においては、八代将軍吉宗の翻訳事業がその後の蘭学に先行するものであり、また彼の政策と密接に関連することが確認された。しかしそれが後の蘭学の進展にどのように働いたのか、その歴史的意義については研究者間に意見の相違があった。これはセミナー終了後に文書で対応していたが、意見の調整を行なうために再度、日本から研究者を派遣した。それにより統一的な見解を得た。総合議題では「文化の翻訳・翻訳の文化」というテーマで扱った。これらの成果は次のように要約できる。政治、社会、文化、歴史認識の面における欧州人の日本観、日本認識の特徴を「理解」と「錯誤」の交錯という切り口で検討しているが、第一に文化・文明の交流における「錯誤」の背景には、日欧間の「自然」観それ自体におけるズレが作用していること、その意味が自然科学史的比較が必要であるという共通認識、第二にとくに文化・文明の担い手としての人間観のズレとしてセックスとジェンダーの交錯を比較検討する必要に達したことである。これらの成果は刊行物として出版される予定である。
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Research Products
(11 results)
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[Publications] 鈴木 貞美: "酷薄と錯誤-『砂の器』をめぐって" 松本清張研究. 81-87 (1998)
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[Publications] 白幡 洋三郎: "The Modernization of transport and communications in Japan" INTERNATIONAL SYMPOSIUM The introduction of modern science and Technology to Turkey and Japan. (1998)
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[Publications] 笠谷 和比古: "ヨーロッパオペラ界の現状と日本音楽界の将来像(三)" 日本研. 第20号. (1998)
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[Publications] 笠谷 和比古: "「武士」身分と合意形成の特質-ヨーロッパとの比較-" 歴史評論. 第581号. 15-29 (1998)
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[Publications] 白幡 洋三郎: "ヨーロッパの庭園と公園" Tradepia9. No.333. (1998)
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[Publications] 河合 隼雄: "日本文化の新しい顔" 岩波書店, 55 (1998)
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[Publications] 石井 紫郎: "図説判決原本の遺産 (編著)" 信山社出版, 101 (1998)
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[Publications] 白幡 洋三郎: "庭園の美・造園の心:ヨーロッパと日本" 日本放送出版協会, 146 (1998)
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[Publications] 鈴木 貞美: "日本の「文学」概念" 作品社, 431 (1998)
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[Publications] 稲賀 繁美: "絵画の黄昏:エドウアール マネ没後の闘争" 名古屋大学出版会, 407 (1997)
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[Publications] Willy,Vande Walle: "Japan : het onvoltooide experiment" Tielt : Lanoo, 224 (1989)