1997 Fiscal Year Annual Research Report
鹿の地方病性心筋症の病理学的ならびに予防に関する研究
Project/Area Number |
09045074
|
Research Category |
Grant-in-Aid for international Scientific Research
|
Section | University-to-University Cooperative Research |
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
吉川 尭 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (80050467)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 博康 北里大学, 獣医畜産学部, 助教授 (70101516)
小山田 隆 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (80050665)
川村 清市 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (60050530)
椿 志郎 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (70050507)
|
Keywords | 心筋症 / セレニュウム / ビタミンE / 克山病 / シカ |
Research Abstract |
中国 東北地方のセレニュウム欠乏地帯に、古くから克山病(Keshan disease)と称されるヒトの心筋疾患が発生している.また同地域の家畜(ブタ、ヒツジ、ニワトリ)においても心筋の壊死による急性心疾患の発生が報じられている.本研究は、家畜化されたシカ牧場で集中発生する心筋疾患の病理発生的研究である. 平成10年度においては、(1)第一回調査:本疾患の発生状況および4頭の病体を現地解剖し材料を収集。(2)第2回調査:20頭の現地解剖及び第1回調査材料の病理組織学的および微細構造学的所見を共同討議した.更に今後の研究の進め方を検討.[成果]病理組織学的所見:基本的にいずれも炎症細胞の浸潤を伴わない二種の変性像が指摘された。(1)心筋細胞内筋原線維の粗鬆化と空胞変性で、内容が殆ど空虚を呈すものと、微細顆粒状物質を含むものとが観察された。また、変性筋線維はしばしば微細な空胞の融合により、いわゆる打ち抜き(punched out)像に陥っていた.かかる変化は特に子鹿に多く見られる傾向を示していた。“(2)"心筋細胞の好酸性化と核の濃縮ならびに過収縮性変化を示していた.超微細構造学的所見:“(1)"myofilament の融解ないし離開、Z帯の異常拡大、変形、分布異常およびミトコンドリアの腫大と変形(櫛膜の崩壊、消失、同心円状配列、基質の淡明化、高電子密度顆粒の沈着)が観察された。“(2)"筋原繊維の断裂、過収縮、Z帯間隔の短縮と介在板の錯走像が観察された。これら病理学所見は、本質的には克山病に酷似していると見なされるが、心筋病変の発生に対して、次年度は急性例および耐過例を追加し、血清セレン・ビタミンE値と免疫担当細胞(特にT細胞)およびselenoenzymeであるglutathione peruoxidaseの動態を検討する必要がある。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] T.Yoshikawa et al: "Myodegeneration associated with Selenium deficiency in domestic deer(Cervus nippon Temminck)" J.Vet.Med.Sci.(1998)
-
[Publications] T.Yoshikawa et al: "Myocardial ultrastructural alteration in Selenium deficient deer" J.Comp.Path.(1998)