1998 Fiscal Year Annual Research Report
美学と病理学-人間経験の解釈学としての感性論に関する基盤研究
Project/Area Number |
09301003
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩城 見一 京都大学, 文学研究科, 教授 (40025086)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸 文和 同志社大学, 文学部, 教授 (30177810)
岡田 温司 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (50177044)
篠原 資明 京都大学, 総合人間学部, 教授 (60135499)
米澤 有恒 兵庫教育大学, 教育学部, 教授 (70093341)
太田 喬夫 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (30098230)
|
Keywords | E・レヴィナス / W・ベンヤミン / 草間弥生 / 芸術生理学 / 自画像 / 臨終行儀 / 水俣病 / 画の病 |
Research Abstract |
今年度第一回会合は、美学会全国大会(京都大学)にリンクするかたちで、「当番校設定テーマ研究会」の一つとして開催し、テーマは「<病>感性論」とした。分担者以外の研究者の発表も募り、分担者の司会により7名の発表が行われ、それを巡る議論がなされた。全国大会とリンクしたことで、私たちの研究が、広い議論の場に供せられたことは、大変有意義であった。行われた研究発表は以下の通り(下線は本科研分担者)。 10月10日: 「草間弥生の芸術と<病>ー水玉模様と自己消滅」 (三上真理子)、「病の感性論ー草間、坂上、ヘスの作品を中心に」 (長谷川祐子)〔以上司会 島本浣〕、10月11日: 「<病>の意義ーE・レヴィナスの<存在の乱調>の問題」 (佐野陽子)、「W・ベンヤミンと視覚的無意識について」 (前川修)、「芸術生理学の可能性」 (小林昌廣)〔以上司会 室井尚〕、10月12日: 「臨終行儀再考ー病者の<まなざし>と<身体>をめぐって」 (加須屋誠)、「自画像という<病>」 (岡田温司)、「<画の病>を語ること」 (太田孝彦)〔以上司会 岸文和〕。尚、その後の会合は以下の通り。 1月10日:宇佐美文理「<かたち>小考ー病がかたちに現れることをてがかりにして」、並木誠士「16、17世紀画壇における正統意識の自覚と異端排除ー狩野派を中心に」、3月6日:西山良平「天皇と<病>」、丸山徳次「水俣病と感性の病」。また、本研究の分担者加藤、島本、室井、吉岡は、今年9月スロヴェニアで開催された国際美学会で研究発表を行った。これらの成果から、本研究は、今日的問題を、当初予想した以上に広い射程から論じるべきことが明らかになってきている。来年度も複数会合を予定している。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 岩城 見一: "芸術的世界の現象学(3)" 京都大学文学部美学美術史学研究室『研究紀要』. 19. 57-86 (1998)
-
[Publications] 岩城 見一: "視覚の論理-植田寿蔵-" 常俊宗三郎編『日本の哲学を学ぶ人のために』世界思想社. 197-232 (1998)
-
[Publications] 太田喬夫(編著): "『芸術学を学ぶ人のために』" 世界思想社, 326 (1999)
-
[Publications] 米澤有恒(共著): "『冒険する造形作家たち:先端的な芸術の実験』" 淡交社, 230 (1999)
-
[Publications] 篠原資明: "『現代思想の冒険者たち 29 エ-コ』" 講談社, 279 (1999)
-
[Publications] 岡田温司(監訳): "ロベルト・ロンギ『美術論叢 1 アッレジから未来派まで』(図版16p)" 中央公論美術出版, 412 (1998)