2000 Fiscal Year Annual Research Report
美学と病理学-人間経験の解釈学としての感性論に関する基盤研究-
Project/Area Number |
09301003
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岩城 見一 京都大学, 文学研究科, 教授 (40025086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
魚住 洋一 京都市立芸術大学, 美術学部, 助教授 (10168669)
吉田 城 京都大学, 文学研究科, 教授 (80127315)
中村 俊春 京都大学, 文学研究科, 助教授 (60198223)
並木 誠士 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (50211446)
加藤 哲弘 関西学院大学, 文学部, 教授 (60152724)
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Keywords | 感性論 / 病理学 / 病 / 画論 / 感覚 / 病表象 / 人間経験 / 他者 |
Research Abstract |
本研究は、これまでの科学研究費による研究成果(「感性的認識の学としての〈美学〉の今日的課題」)、「想像力-その評価をめぐる比較美学的研究-」に続き、「美学」を〈人間的経験の成り立ちを問う学〉として捉え直そうとする試みの一環として計画された。「美学と病理学」という研究課題が掲げられたのは、「感性学」としての「美学」の今日的可能性を考察するうえで、「病理学(Pathology)」が一つの試金石になるからである。<病>は常に、人間経験に不意に介入しそれを揺さぶる<他者>として、それゆえにまた有限な人間経験の特殊性を人間に突きつける出来事として、古今東西を問わず深刻な問題として解釈され、様々に表現されてきた。 本研究は、平成9年度より、平成12年度まで、4年をかけて遂行された。その内最初の三年間に会合を開き、美学美術史学専攻の研究者のほか、東西哲学、日本、西洋文学、歴史学の研究者を加え、<病>の解釈によって照らし出される人間的経験の特殊構造とそれの歴史的変化を、各分担者の報告とそれをめぐる議論を通して明らかにしようとした。この間、美学会全国大会(於、京都大学)でも、本科研のテーマ設定による研究会が開かれ、この成果もすでに報告書として公にされている。本科研による研究成果は、現在印刷中の研究成果報告書、『美学と病理学』で公にされる。そこでは、文学表現と病との関わり、中国や日本の画論における「画の病」の問題、ノーマルな感覚自体の孕む病的側面、歴史において変化する病表象等、多岐にわたる病の問題が、「感性論」としての「美学」の重要なテーマになることが、明らかにされている。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 岩城見一: "芸術的精神の現象学(5)"『研究紀要』京都大学文学部美学美術史学研究室 編. 21. 1-36 (2000)
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[Publications] 加藤哲弘: "ヴァールブルクとベレンソン:テキストとコンテキストのユダヤ的性格"『西洋美術研究』. 4. 12-29 (2000)
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[Publications] 岸文和: "絵画行為論-新しい美術史のために-"『美術史論壇』韓国美術研究所. 10. 247-289 (2000)
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[Publications] 室井尚: "芸術と情報-サイボーヴ的主体について"『Intercommunication』. 32. 126-131 (2000)
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[Publications] 魚住洋一: "フッサール-生活世界の復権"小林道夫 他 編『哲学を読む』(人文書院). 209-216 (2000)
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[Publications] 丸山徳次: "媒介としての応用倫理学"関西倫理学会 編『倫理学研究』. 31(2001年3月予定). (2001)
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[Publications] 岩城見一(編): "『木村素衛:美のプラクシス』"燈影舎. 286 (2000)
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[Publications] 室井尚: "『哲学問題としてのテクノロジー-ダイダロスの迷宮と翼』"講談社. 245 (2000)