1998 Fiscal Year Annual Research Report
太陽活動極小期における反陽子宇宙線の精密測定とその起源の決定
Project/Area Number |
09304033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
野崎 光昭 神戸大学, 自然科学研究科, 教授 (10156193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 哲也 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (50222394)
折戸 周治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10092173)
三井 唯夫 神戸大学, 理学部, 助手 (20283864)
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Keywords | 宇宙線反陽子 / 気球搭載観測装置 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き,宇宙線反陽子のエネルギースペクトルを測定した。BESS測定器を用いて残留大気5g/cm2の高度約37kmで17時間の気球観測を行い,宇宙線データを取得した。観測後,測定器は無事回収された。今年度の観測では,新規に屈折率1.02のエアロジェル・チェレンコフカウンタを搭載し,反陽子同定可能なエネルギー領域を更に拡大することができた。またデータ収集システムの処理速度の向上により不感時間が減少し,実質的データ収集時間が増大した。データは現在解析中である。予備解析によれば,今年度の改良の結果,1997年のフライト同様に400例程度の反陽子が検出されており,エネルギースペクトラムの精度を圧倒的に向上できると期待される。 また一次宇宙線のエネルギースペクトルを測定した。最近大気ニュートリノ異常からニュートリノ振動が示唆されているが,大気ニュートリノフラックスを精度良く求めるためには,陽子/ヘリウムのスペクトルを決走する必要がある。 1995年観測データの解析が完了し,反陽子のフラックスに関する論文をまとめた。低エネルギー領域では2次起源反陽子のモデルと必ずしも良く一致していない。1次起源反陽子が存在する可能性も否定できず,今後更にデータを収集する必要がある。 新しい環境モニターシステムを製作した。これにより,従来64点に制限されていたモニター点数を大幅に増加させること,またGPS等のデジタル出力のモニターも組み込むことが可能になった。新システムをBESS測定器に組み込み,その性能確認を行い,1999年の観測で使用すべく準備を進めた。
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[Publications] T.Saeki: "A new limit on the flux of cosmic anti-helium" Physics Letters. B422. 319-324 (1998)
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[Publications] H.Matsunaga: "Measurement of low-energy cosmi ray anti-protons at solar minimum" Physical Review Letters. 81. 4052-4055 (1998)