1997 Fiscal Year Annual Research Report
運動と骨のリモデリング:高齢化社会の健康に関する人類学的基礎研究
Project/Area Number |
09304077
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石田 英實 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60027480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 和隆 筑波大学, 体育科学系, 講師 (70221041)
国松 豊 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (80243111)
浜田 穣 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (40172978)
中務 真人 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00227828)
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Keywords | 霊長類 / 四肢骨 / 骨密度 / 運動 / ニホンザル / リモデリング / 種間差 |
Research Abstract |
本研究課題の研究遂行のためにpQCT(マイクロスコープ Research SA型,ストラテック社(ドイツ))を昨年秋に導入した。装置は霊長類の生体計測を摘出骨の分析の両者が可能なように、管電圧、断面厚(スライス厚)を可変にした。この装置を用い、マカクザルおよびチンパンジーの生体計測とマカクザルの摘出骨の計測、およびマカクザル上顎大臼歯の断層面観察を行った。 京都大学霊長類研究所(愛知県)において飼育されているニホンザル35頭について前腕部の骨密度を計測し、横断的に橈骨の骨密度、断面形状の年齢変化を分析した。また、三和科学研究所(熊本県)に赴き、同施設が飼育するチンパンジー15頭についても同様の計測を行い、マカクザルと比較した。 マカクザルとチンパンジーは共に年齢が高くなるにつれ、緻密質骨密度が増加し、海綿質骨密度が低下する傾向が認められた。この変化は骨化が完成する時期以降は認められなかった。緻密質骨密度についてはチンパンジーがマカクザルよりも平均20%程度高い値を示した。しかし、性差は認められなかった。 動物種による緻密質の骨密度、また部位による骨密度の差異の程度を明らかにするため、京都大学霊長類研究所が保管するニホンザル50体分の橈骨を計測した。乾燥骨の骨密度は約960mg/cmmで、生体よりも低い値が得られた。現在、断面の部位による差異を分析中である。 上顎大臼歯の断面を観察したところでは、エナメル質を象牙質とが明瞭に区分され、この装置によるエナメル質の厚みの計測や、エナメル.象牙境の三次元的観察や計量的分析の可能性が示唆された。 なお、上記の結果は合衆国シアトルで平成10年3月に行われた国際シンポジウムで発表した。
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