1998 Fiscal Year Annual Research Report
海洋コンクリート構造物の劣化過程と寿命予測に関する研究
Project/Area Number |
09305032
|
Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
宮川 豊章 京都大学, 工学研究科, 教授 (80093318)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尼崎 省二 立命館大学, 理工学部, 教授 (60066743)
六郷 恵哲 岐阜大学, 工学部, 教授 (40127155)
川東 龍夫 近畿大学, 環境科学研究所, 助手 (10140310)
宮本 文穂 山口大学, 工学部, 教授 (10093535)
井上 晋 大阪工業大学, 工学部, 助教授 (30168447)
|
Keywords | 海洋コンクリート構造物 / 劣化過程 / 寿命予測 / 塩害 / 高流動コンクリート / 連続繊維シート / 横拘束コンクリート / 打継ぎ |
Research Abstract |
本研究では、横拘束筋体積比、CFRPシート補強の有無、マクロセル腐食を想定した塩分を含むコンクリートの打継ぎ、高流動コンクリートの使用を要因として、塩水散水促進環境におけるRC曲げ部材の軸筋腐食のモニタリングを行なった。得られた結果は以下の通りである。 1. 現在塩水散水を継続している劣化供試体には全て幅0.2mm以上、長さ数cm以上の軸方向ひび割れが生している。ρsによるひび割れ性状の差は明確ではなかったが、CFRPシート巻立て供試体ではひび割れ幅が小さくなる傾向にあった。また、高流動コンクリート供試体のひび割れ幅、長さともに普通コンクリートより大きくなる傾向が見られたが、高流動コンクリート部材の腐食速度、腐食減量共に普通コンクリートより若干大きいためであると考えられる。 2. 劣化供試体の交流分極法による曲げスパン中央部の腐食減量率より、横拘束筋の増加により若干腐食量の増加が見られ、フープ筋と軸筋の接合部などのコンクリートの欠陥の影響が考えられる。CFRPシート補強供試体の腐食減量率は比較的小さくなっており、CFRPシートの表面被覆に加えてひび割れの抑制による塩分の遮蔽が考えられる。また、打継ぎ供試体は同一横拘束筋の供試体より若干腐食量が多いものの、現時点ではマクロセルによる激しい鉄筋腐食はなく、他と同様にミクロセル腐食の割合が高いと考えられる。供試体上下(上部から塩水散水を行なっている)による値の差はほとんど同じかやや上部が大きくなる傾向にあり、上部は水分の乾燥が速く、塩分浸透がより加速されたと考えられる。 3. 矩形波法による腐食速度の経時変化より、ばらつきはあるものの、軸方向ひび割れ発生時期(97/7頃)から腐食速度が一旦増加しその後減少する傾向にあり、ひび割れによる腐食の加速および腐食生成物の目詰まりによる腐食速度の減少が考えられる。ただし、夏季であるため高い温度、湿度による腐食速度の増加の可能性もある。
|