1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09305035
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
玉井 信行 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90010818)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細見 正明 東京農工大学, 工学部, 教授 (90132860)
加藤 和弘 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (60242161)
奥田 重俊 横浜国立大学, 環境科学研究センター, 教授 (00000141)
辻本 哲郎 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (20115885)
中村 俊六 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (10023300)
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Keywords | 魚類生息域 / 適性曲線 / 付着藻類 / 河床植生 / 底生無脊堆動物 / アレロパシー |
Research Abstract |
魚類の生息域適性曲線に対する、成長段階の影響を体長に基づき推定した。これによると、適性曲線が幾つかのピークを持つ時、それらの原因が体長によるものであると推定された。また、生息域適性曲線は他の魚種の存在により影響を受け、複雑に変化することが予想される。実際、乙川においても、観測地域ごとに曲線がばらついたり、アユの存在によって大きく影響を受ける例が報告されている。こうした状況下において、一つの魚種を対象とするのでなく、総合的な適性曲線を作成する試みを行なった。新しい総合適性曲線を乙川に適用した結果では、従来のものより安定した判定が出来ることが分かった。 魚類の生息域適性基準については、さらに他の河川においても幅広く調査を進めた。PHABSIM用の適性曲線(適性基準)を、ウグイの稚魚と成魚に関して作成し、その妥当性を農具川での生息分布調査結果を用いて検証した。サクラマス成魚の河川行動及び生息環境をラジオテレメトリー法を用いて明らかにした.また、多自然型改修の行われた小河川において、魚類群集と環境要素の関係を検討した. 藻類、植生に関しては以下の成果を得ている。既存の調査結果を分析し、付着藻類および底生無脊椎動物を指標とした河川環境評価手法を体系化して発表した。和泉川、乙川などで野外調査を実施した。河川に棲息する沈水植物が藻類の増殖に及ぼす影響を把握した。特に、顕著な増殖抑制効果を示したのはホザキノフサモであった。ホザキノフサモからアレロパシー物質が検出された。 洪水時の植生周辺の河床地形,表層粒度構成の変化と,洪水後の低水後の植生の侵攻を組み合わせたモデルで河相変化を時系列的にとらえることを試みた.また,植生,河床地形,表層粒度の効果を取り込んだ流れの計算をもとにした魚類生息環境評価についても検討した.
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Research Products
(18 results)
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[Publications] 玉井信行・江村歓・松崎浩憲: "A Network Operation of Reservoirs for Enhancement of the Ecological Flushing Discharge" Proc.of the 27th Congress of IAHR. 27-D. 507-512 (1997)
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[Publications] 玉井信行・松崎浩憲: "Estimate of Fish Habitat for Determination of Ecological Instream Flow," Proc.of the 27th Congress of IAHR. 27-B.1. 444-449 (1997)
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[Publications] 玉井信行・松崎浩憲・白川直樹: "潜在自然河川の特性とそれに関する研究・河川管理のあり方について" 新しい河川整備・管理の理念とそれを支援する河川技術に関するシンポジウム. 1巻. 147-152 (1997)
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[Publications] 松崎浩憲・玉井信行・河原能久他: "多摩川人工わんどの特性と維持管理への提言" 新しい河川整備・管理の理念とそれを支援する河川技術に関するシンポジウム. 1巻. 231-236 (1997)
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[Publications] 松崎浩憲・玉井信行: "河川環境行政の歴史的変遷と自然回復型河川工事への提言" 土木史研究. 17巻. 543-550 (1997)
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[Publications] 辻本 哲郎: "Secondary flow and fish habitat" Proc.Conf.Management of Landscapes Distributed by Channel Incision. 1巻. 55-60 (1997)
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[Publications] 辻本哲郎・北村忠紀: "Morphological change and change of vegetation cover in fluvial-fan river" Proc.Conf.Management of Landscapes Distributed by Channel Incision. 1巻. 157-164 (1997)
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[Publications] 辻本哲郎・辻倉祐喜: "植生周辺の掃流過程と中州の発達" 水工学論文集. 42巻. 457-462 (1998)
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[Publications] 加藤和弘: "Ecological analysis and evaluation to find environmental factors influencing lotic communities" Proc.of International Symposium on River Reconstruction.Secul National University. 57-77 (1997)
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[Publications] 加藤 和弘: "生物群集種組成の多変量解析による生息環境の分析と評価" 日本応用数理学会年会講演予稿集. 264-265 (1997)
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[Publications] 細見 正明: "水質改善と水辺生態系の創出" 第12回環境工学連合講演会講演論文集. 107-112 (1997)
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[Publications] 細見 正明: "底質浚渫の水質改善効果と浚渫底質を用いた湿地の創出" 雨水技術資料. 26巻. 33-38 (1997)
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[Publications] 中井智司・細見正明・村上昭彦: "大型水生植物のアレロパシー" 用水と廃水. 40巻. 5-10 (1998)
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[Publications] 中井智司・井上豊・細見正明・村上昭彦: "大型水生植物のアレロパシーによる藍藻類の増殖抑制" 日本水処理生物学会誌. 33巻4号. 215-222 (1997)
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[Publications] 和田真治・須藤・東・中村俊六: "農具川における魚類生息場適性基準(HSI)の作成と検証" :土木学会中部支部研究発表会講演概要集. 353-354 (1998)
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[Publications] 中村俊六: "Fish Habitat Devices in a Straightened Stream in a Japanese Mountainous Rice Paddy Area,and an Application of PHABSIM'S Habitat Suitability Criteria for Japanese Dace to Evaluate the Stream." 中日渓流環境保育研討会論文集. 1-54 (1998)
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[Publications] 細見正明・秋葉道宏: "「土の環境圏」岩田進午、喜田大三監修第10章人工水辺緑地第4節人工湿地の水生植物生育基盤の整備" フジテクノシステム, 753-761 (1997)
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[Publications] 細見 正明: "「水文・水資源ハンドブック」水文・水資源学会編集4.2.8湿地生態系の基礎過程4.2.9沿岸・海洋生態系の基礎過程" 朝倉書店, 110-112 (1997)