1997 Fiscal Year Annual Research Report
生物的防除における導入天敵の利用と国内の生物相に与える影響評価に関する研究
Project/Area Number |
09306003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久野 英二 京都大学, 農学研究科, 教授 (10026560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広瀬 義躬 九州大学, 農学部, 教授 (10038218)
斎藤 裕 北海道大学, 農学部, 教授 (20142698)
天野 洋 千葉大学, 園芸学部, 教授 (00143264)
高林 純示 京都大学, 農学研究科, 助教授 (10197197)
高藤 晃雄 京都大学, 農学研究科, 教授 (50026598)
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Keywords | 天敵 / 生物的防除 / 導入天敵 / 在来天敵 / 防除資材 / 総合的有害生物管理 / IPM / 個体群動態 |
Research Abstract |
基礎研究の初年度に当たる本年度は、まず年度はじめに各分担者による既存の研究成果の整理を行い、今後の展開に必要な知見の抽出と、一部その補充を行った。その成果は以下のようにまとめられる。 1,わが国で既に農薬登録が認可済みの導入天敵2種の、周辺環境へ与える生態的影響の評価: (1)チリカブリダニは主として施設で使用されてきたが、研究分担者による資料収集や本年度のカブリダニ採集記録からも、野外における定着例は確認できなかった。また、世界的な定着記録を精査したところ、本種の定着に必要な気温・湿度等の気象条件は従来考えられていたよりも狭い事実が本研究で明らかにされ、日本での定着は困難であろうとの示唆が得られた。(2)オンシツツヤコバチに関しては、施設での使用後、野外への拡散・定着を示す結果が得られた。今後の研究は周辺環境への影響を、主として在来天敵への影響という視点から展開したい。 2,わが国の重要害虫に対する主要天敵類の解明と動態調査: 1)外来性の重要害虫に対して、近年導入(侵入)されたチュウゴクオナガコバチ(クリタマバチの天敵)や、ヤノネキイロコバチ・ヤノネツヤコバチ(以上、ヤノネカイガラムシの天敵)の長期動態を解析し、土着天敵との交雑種の存在や、天敵2種の長期的安定系の確立が明らかとなった。(2)在来性天敵であるケナガカブリダニ(ハダニの天敵)の活動性を、他の天敵相との関係から解明し、また、これら複数天敵の動態を数理モデルから推測する手段を作成した。(3)有力天敵のカブリダニ類やタマゴバチ類に関して、全国的な分布調査に着手した。
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Research Products
(14 results)
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[Publications] 天野 洋: "わが国に生息する植物寄生性ならびに捕食性ダニ類の在来性" 千葉大学園芸学部学術報告. 52. (1998)
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[Publications] 斎藤 裕: "野菜をハダニからまもるチリカブリダニ" 遺伝. 51・9. 16-21 (1997)
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[Publications] Hirose,Y.: "Biological control strategies against insect pests in Japan" Proc.Int.Symp.Bio.Cont.Insect Pests. 1-9 (1997)
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[Publications] Nakashima,Y.: "Winter reproduction and photoperiodic effects on diapause induction of Orius tantillus (Motschulsky) (Heteroptera : Anthocoridae),a predator of Thrips palmi" Appl.Entomol.Zool.32・2. 403-405 (1997)
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[Publications] Nakashima,Y.: "Temperature effects on development of Orius tantillus (Het.: Anthocoridae),a predator of Thrips palmi (Thys.: Thripidae)" Entomophaga. 42・3. 337-342 (1997)
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[Publications] Kawai,A.: "Prospect for integrated pest management in tea cultivation Japan" JARA (JIRCAS). 31. 213-217 (1997)
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[Publications] 高橋文雄: "下草へのチリカブリダニ放飼によるハウス栽培ブドウ園ハダニ管理法" 日本応用動物昆虫学会誌. 42・2. (1998)
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[Publications] 小池 朗: "ナシ樹上におけるカブリダニ(Acari:Phytoseiidae)の生息場所に関する新しい知見およびトラップ(Cotton trap)によるカブリダニ捕獲調査" 日本応用動物昆虫学会誌. 42・1. 21-23 (1998)
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[Publications] Horikoshi,M.: "Cotesia glomarata females wasps use fatty acids from plant-herbivore complex in host searching" J.Chem.Ecol.23・6. 1505-1515 (1997)
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[Publications] Shimoda,T.: "Response of predatory insect Scolothrips takahashii toward herbivore-induced plant volatiles under laboratory and field conditions." J.Chem.Ecol. 23・8. 2033-2048 (1997)
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[Publications] 高林純示: "植物-害虫-天敵間の化学情報 -天敵利用の新技術開発に向けて-" 遺伝. 51・9. 38-43 (1997)
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[Publications] 市岡孝朗: "アリとカイガラムシ -個体群の特性に影響を与える共生関係-" 生物科学. 49・3. 131-138 (1977)
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[Publications] Itioka,T.: "Biological control by two exotic parasitoids : eight-year population dynamics and life tables of the arrowhead scale" Entomol.Exp.Appl.85. 65-74 (1997)
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[Publications] Mizuno,M.: "Food utilization of aphidphagous hoverfly larvae (Diptera : Syrphidae,Chamaemyiidae) on berbaceous plants in an urban habitat" Ecol.Res.12. 239-248 (1997)